夏目漱石 『明暗』 「三好さん、黙っていないで、ちっとあっちの…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「三好さん、黙らずに、ちょっと面白い話でもしてリアさんに聞かせてあげてよ」
「はい、何でもしましょう」
「そうよ、何でもして。黙っちゃダメよ」
「またドイツを逃げ出した話でもすればいいよ」
「ドイツを逃げ出した話も、何度も繰り返すので、最近は自分でも飽きちゃいました」
「あなたみたいな冷静な方でも、少しは焦ったでしょ?」
「少しどころか、パニックだったと思いますよ。自分ではよく分からないですけど」
「でも殺されるとは思わなかったでしょう?」
「はい」
「まさか殺されるとも思うまいね。特にこの人なんか」
「どうしてですか?ずうずうしいからですか?」
「そういうわけでもないんですけど、とにかく命を大事にする人だから」

原文 (会話文抽出)

「三好さん、黙っていないで、ちっとあっちの面白い話でもして継子さんに聞かせてお上げなさい」
「ええ何でも致しましょう」
「ええ何でもなさい。黙ってちゃいけません」
「また独逸を逃げ出した話でもするがいい」
「独逸を逃げ出した話も、何度となく繰り返すんでね、近頃はもう他よりも自分の方が陳腐になってしまいました」
「あなたのような落ちついた方でも、少しは周章たでしょうね」
「少しどころなら好いですが、ほとんど夢中でしたろう。自分じゃよく分らないけれども」
「でも殺されるとは思わなかったでしょう」
「さよう」
「まさか殺されるとも思うまいね。ことにこの人は」
「なぜです。人間がずうずうしいからですか」
「という訳でもないが、とにかく非常に命を惜しがる男だから」


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