GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』
現代語化
「だってさ、こっちがまじめに結婚するつもりで、相手もまじめに結婚するつもりだったら、どこが軽薄なの?由雄さん」
「簡単にまじになれるかどうかが問題でしょ」
「なれるから、あたしがおばさんになってまで藤井家に嫁に来て、こうしてやってるじゃない」
「でもさ、おばさんはそうだけど、今の若い子たちはさ……」
「今でも昔も人間は変わらないでしょ。みんな自分の決心次第よ」
「それじゃ議論にならないよ」
「議論にならなくても、事実としてあたしが由雄さんより正しいんだから仕方ないでしょ。あれこれ条件つけてお嫁さんをもらった後でもまだ条件つけて落ち着かない人より、あたしのほうがずっとまじめてるのはわかるでしょ」
原文 (会話文抽出)
「何もお金さんの場合をとやかく批評する気はないんだが、いったい結婚を、そう容易く考えて構わないものか知ら。僕には何だか不真面目なような気がしていけないがな」
「だって行く方で真面目に行く気になり、貰う方でも真面目に貰う気になれば、どこと云って不真面目なところが出て来ようはずがないじゃないか。由雄さん」
「そういう風に手っとり早く真面目になれるかが問題でしょう」
「なれればこそ叔母さんなんぞはこの藤井家へお嫁に来て、ちゃんとこうしているじゃありませんか」
「そりゃ叔母さんはそうでしょうが、今の若いものは……」
「今だって昔だって人間に変りがあるものかね。みんな自分の決心一つです」
「そう云った日にゃまるで議論にならない」
「議論にならなくっても、事実の上で、あたしの方が由雄さんに勝ってるんだから仕方がない。いろいろ選り好みをしたあげく、お嫁さんを貰った後でも、まだ選り好みをして落ちつかずにいる人よりも、こっちの方がどのくらい真面目だか解りゃしない」