夏目漱石 『明暗』 「まだ嬉しいんでしょう」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「まだ嬉しいですか?」
「でも、もうずいぶんになるわね、結婚してから」
「はい、もう半年とちょっとになります」
「早いものね、ついこの間だと思ってたのに。――それで最近はどう?」
「何がですか?」
「夫婦仲はいいの?」
「別に問題はないです」
「じゃもう嬉しいところなんて過ぎちゃったの?嘘でしょ?」
「嬉しいところなんて最初からなかったんですから、仕方ありません」
「じゃこれからでしょ。もし最初からなかったなら、これから嬉しいところが出てくるのは」
「ありがとう、じゃ楽しみに待ってます」
「ところで、あなたおいくつ?」
「もうおばあさんです」
「おばあさんじゃないわよ。ちょっと聞きたいから聞いてるんだから、正直に言いなさいよ」
「じゃ言いますけど、実は30です」
「じゃあ来年で31ね」
「順調に行けばそうなる計算です」
「お延さんは?」
「あの子は3歳です」
「来年?」
「いえ、今年です」

原文 (会話文抽出)

「まだ嬉しいんでしょう」
「だけど、もうよっぽどになるわね、結婚なすってから」
「ええもう半歳と少しになります」
「早いものね、ついこの間だと思っていたのに。――それでどうなのこの頃は」
「何がです」
「御夫婦仲がよ」
「別にどうという事もありません」
「じゃもう嬉しいところは通り越しちまったの。嘘をおっしゃい」
「嬉しいところなんか始めからないんですから、仕方がありません」
「じゃこれからよ。もし始めからないなら、これからよ、嬉しいところの出て来るのは」
「ありがとう、じゃ楽しみにして待っていましょう」
「時にあなた御いくつ?」
「もうたくさんです」
「たくさんじゃないわよ。ちょっと伺いたいから伺ったんだから、正直に淡泊とおっしゃいよ」
「じゃ申し上げます。実は三十です」
「すると来年はもう一ね」
「順に行けばまあそうなる勘定です」
「お延さんは?」
「あいつは三です」
「来年?」
「いえ今年」


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