夏目漱石 『幻影の盾』 「わしじゃ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『幻影の盾』

現代語化

「俺だ」
「今日の晩ご飯で元気なさそうだったから見舞いに来た」
「たいした事ないよ」
「夜鴉が鳴く前に、花がたくさんある国に行かないか?」
「花がたくさんある国って?」
「南のことだよ、詩人たちが歌を歌う国だよ」
「主に行きたいの?」
「俺は行かないよ。もう6回日の出を見たら、夜鴉の巣を海に蹴落す役目があるんだ。明るい国に行けば主の顔色もよくなるだろうと思ってさ。ははは」
「鳴かない鴉が闇に消えるまでは……」
「霧の多い国から出ないのか?金髪の主と一緒なら行く?」

原文 (会話文抽出)

「わしじゃ」
「今日の晩食に顔色が悪う見えたから見舞に来た」
「さした事もない」
「夜鴉の羽搏きを聞かぬうちに、花多き国に行く気はないか」
「花多き国とは?」
「南の事じゃ、トルバダウの歌の聞ける国じゃ」
「主がいにたいと云うのか」
「わしは行かぬ、知れた事よ。もう六つ、日の出を見れば、夜鴉の栖を根から海へ蹴落す役目があるわ。日の永い国へ渡ったら主の顔色が善くなろうと思うての親切からじゃ。ワハハハハ」
「鳴かぬ烏の闇に滅り込むまでは……」
「霧深い国を去らぬと云うのか。その金色の髪の主となら満更嫌でもあるまい」


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