夏目漱石 『幻影の盾』 「幻影の盾の由来」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『幻影の盾』

現代語化

「幻影の盾の由来」
「お前の先祖ウィリアムはこの盾を北の国から来た巨人にもらったんだ。……」
「真っ黒な雲が空に広がる日だった。北の国の巨人は雲の中から雷が落ちたかのように現れた。こぶだらけの鉄棒を振り回して、骨を砕くように叩きつければ、馬も人も倒れて、空を流れる雲が血で染まり、風の音が火花のように聞こえた。人を斬るなんてレベルじゃなくて、脳を砕き胴体を潰して、人の形を消し去るまで終わらない激しい戦いだった。……」
「俺が戦ったやつは巨人の中でも一番大きかった。砂を塗った銅板みたいな顔に目だけ爛々と光ってた。俺を見て『南方から来た犬、さっさと死ね』っつって、あの鉄棒を頭上から振り下ろしてきた。目隠ししなかったから、空が真っ二つに割れるような音がして、鉄の塊が俺の右肩をかすめていった。鎖で繋がった肩甲冑の外側の二枚が折れて、肉に食い込んだ。俺が切りつけた刀は相手の盾を斜めに切りつけただけだった。……」

原文 (会話文抽出)

「幻影の盾の由来」
「汝が祖ウィリアムはこの盾を北の国の巨人に得たり。……」
「黒雲の地を渡る日なり。北の国の巨人は雲の内より振り落されたる鬼の如くに寄せ来る。拳の如き瘤のつきたる鉄棒を片手に振り翳して骨も摧けよと打てば馬も倒れ人も倒れて、地を行く雲に血潮を含んで、鳴る風に火花をも見る。人を斬るの戦にあらず、脳を砕き胴を潰して、人という形を滅せざれば已まざる烈しき戦なり。……」
「わが渡り合いしは巨人の中の巨人なり。銅板に砂を塗れる如き顔の中に眼懸りて稲妻を射る。我を見て南方の犬尾を捲いて死ねと、かの鉄棒を脳天より下す。眼を遮らぬ空の二つに裂くる響して、鉄の瘤はわが右の肩先を滑べる。繋ぎ合せて肩を蔽える鋼鉄の延板の、尤も外に向えるが二つに折れて肉に入る。吾がうちし太刀先は巨人の盾を斜に斫って戞と鳴るのみ。……」


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