夏目漱石 『倫敦消息』 「御問合せの件に付申上候。この家はレデーの…

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青空文庫図書カード: 夏目漱石 『倫敦消息』

現代語化

「お問い合わせの件ですが、この家は女性の所有で、部屋の装飾も立派ですし、電気も全部の部屋に通ってて、いい召使いも使ってて、上品で優雅な暮らしができるように配慮されてます。家賃は週33円になりますが、ちょっとお高いでしょうか?もし気に入っていただければ、喜んで部屋をご案内します。よろしくご検討ください」
「やっぱりそっちに行くことにしたよ。一週間33円なんて家賃は俺には払えないから、そっちに行くわ」
「そうなんですね、ありがとうございます。できる限り気をつけますので、ぜひ来ていただけたら嬉しいです」

原文 (会話文抽出)

「御問合せの件に付申上候。この家はレデーの所有にて室内の装飾の立派なるはもちろん室々はことごとく電気灯を用いよき召使を雇い高尚優雅なる生活に適するように意を用い候。宿料は一週三十三円に御座候。あるいは御気に召さぬかと存じ候えども、御出被下候えば喜こんで室々御案内可仕候、敬具」
「とうとうあなたの方へ行く事にしましたよ。一週三十三円の下宿料なんかとうてい我輩には払えんから君の方へ行きましょうよ」
「はあそうですか、どうもありがとう、なるべく気をつけますからどうぞさよう願いたいもので」


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