夏目漱石 『倫敦消息』 「実はあなたも御承知の通りこの度引越す事に…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『倫敦消息』

現代語化

「実は知ってると思うけど、引っ越すことにしたんだけど、どう思う?そっちはこっちよりだいぶきれいだし、設備もいいんだけど、住んでもらうことはできるかな」
「うーん、俺を住まわせたいって言うんなら……」
「いやいや、無理強いはしないんだけどさ、もしよかったら――まあ仲もいいし、うちの人たちもそう思ってるみたいだし」
「俺を下宿人として住ませたいんだろ?でも、別に俺じゃなくてもいいんじゃないか」
「じゃ、こうしよう。向こうから連絡が来たら、とりあえず部屋を見に行って、気に入らなかったらそっちに行くことにするよ。それ以上のところを探すのはやめる。あの手紙出す前にそっちの希望がどれくらいかって分かれば、それに合わせて頼めたんだけど、こうなったから仕方ない。とりあえず向こうの返事待ちだね。その代わり、ほかは絶対に探さないよ。向こうがダメだったら、絶対にそっちに行くから」

原文 (会話文抽出)

「実はあなたも御承知の通りこの度引越す事にきまりましたが、どうでしょう、向うはここよりも大分奇麗でかつ器具などもよほど上等にしますが、来ていただく訳には参りますまいか」
「それは君の方で僕に是非来てくれと言うのなら……」
「イエ是非といって御無理を願う訳ではありませんが、御都合がよければ――実は御馴染にもなっておりますし家内や妹も大変それを希望致しますから」
「君の新宅へ下宿人を置きたいという事は僕も承知していますが、あながち僕でなくっても善いだろうと思ってね」
「それじゃこうしよう、いずれ先方から返事が来る、来ればひとまず行って室を見て、それが気に入らなかったら君の方へ行くとしよう、ほかを探す事はやめにして。あの手紙を出す前に君の方の希望がどのくらいの程度だか分っていれば、聞き合せるまでもない御望みに応じたのだが、こうなっては仕方がない。まず先方の返事次第ですね。その代りほかはけっしてさがさない。あれがいけなければきっと君の方へ行きますよ」


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