夏目漱石 『こころ』 「頭が鈍くて要領を得ないのは構いませんが、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『こころ』

現代語化

「頭が悪くて要領を得ないのは構わないけど、ちゃんとわかってるのに、はっきり言ってくれないのは困ります」
「私は何も隠したりしてません」
「隠してますよ」
「あなたは私の考え方とか意見とか、私の過去をごちゃ混ぜにして考えてませんか。私はちっぽけな思想家ですが、自分の頭で考えたことはむやみに人に隠しません。隠す必要がないから。でも私の過去を全部あなたに話さなきゃいけないとなると、それは別問題です」
「別問題じゃないと思います。先生の過去が今の考え方を生み出したんだから、私はそれも重視するんです。二つを切り離したら、私にはほとんど価値のないものになります。私は魂の入っていない人形を与えられただけで、満足できないんです」

原文 (会話文抽出)

「頭が鈍くて要領を得ないのは構いませんが、ちゃんと解ってるくせに、はっきりいってくれないのは困ります」
「私は何にも隠してやしません」
「隠していらっしゃいます」
「あなたは私の思想とか意見とかいうものと、私の過去とを、ごちゃごちゃに考えているんじゃありませんか。私は貧弱な思想家ですけれども、自分の頭で纏め上げた考えをむやみに人に隠しやしません。隠す必要がないんだから。けれども私の過去を悉くあなたの前に物語らなくてはならないとなると、それはまた別問題になります」
「別問題とは思われません。先生の過去が生み出した思想だから、私は重きを置くのです。二つのものを切り離したら、私にはほとんど価値のないものになります。私は魂の吹き込まれていない人形を与えられただけで、満足はできないのです」


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