GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『こころ』
現代語化
「言ったわ。だって実際そうじゃなかったんですもの」
「どんなだったんですか？」
「あなたが期待してるような、私が期待してるような頼りになる人だったんです」
「それがどうして急に変わっちゃったんですか？」
「急にじゃないわ、だんだんそうなっていったのよ」
「奥さんはその間ずっと先生と一緒にいたんですよね？」
「もちろんよ。夫婦なんだから」
「じゃあ先生が変わった理由はわかるはずだと思うんですけど」
「それが困るのよ。あなたにそう言われるとすごく辛いんだけど、私どう考えても、考えようがないんですもの。私は今まで何回もあの人に、打ち明けてくださいって頼んでみたかわからないぐらい」
「先生は何ておっしゃるんですか？」
「何も言うことない、何も心配することない、俺はこういう性格になったんだからってだけで、取り合ってくれないんです」
原文 (会話文抽出)
「奥さん、私がこの前なぜ先生が世間的にもっと活動なさらないのだろうといって、あなたに聞いた時に、あなたはおっしゃった事がありますね。元はああじゃなかったんだって」
「ええいいました。実際あんなじゃなかったんですもの」
「どんなだったんですか」
「あなたの希望なさるような、また私の希望するような頼もしい人だったんです」
「それがどうして急に変化なすったんですか」
「急にじゃありません、段々ああなって来たのよ」
「奥さんはその間始終先生といっしょにいらしったんでしょう」
「無論いましたわ。夫婦ですもの」
「じゃ先生がそう変って行かれる源因がちゃんと解るべきはずですがね」
「それだから困るのよ。あなたからそういわれると実に辛いんですが、私にはどう考えても、考えようがないんですもの。私は今まで何遍あの人に、どうぞ打ち明けて下さいって頼んで見たか分りゃしません」
「先生は何とおっしゃるんですか」
「何にもいう事はない、何にも心配する事はない、おれはこういう性質になったんだからというだけで、取り合ってくれないんです」