GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『こころ』
現代語化
「いや、ほとんど来ないよ。最近は人の顔を見るのが嫌になってきてる」
「じゃあ奥さんだけが特別なんですか?」
「いや、俺も嫌われてる一人だよ」
「それウソでしょ」
「奥さん自身、ウソって知ってるくせにそう言うんでしょ?」
「なんで?」
「俺が言わせてもらえば、奥さんが俺を好きになったから世間が嫌いになったんだよ」
「あなたって勉強家だから上手だね。中身のない理屈を言いこなすのが。世間が嫌いになったから、私のことも嫌いになったんだって言われることもあるでしょ?それと一緒の理屈で」
「両方言われることは言われるけど、今回は俺の方が正しいよ」
「議論は嫌よ。男の人ってよく議論するよね、楽しそうに。中身のない盃でよく飽きずに乾杯できると思うわ」
原文 (会話文抽出)
「先生はやっぱり時々こんな会へお出掛けになるんですか」
「いいえ滅多に出た事はありません。近頃は段々人の顔を見るのが嫌いになるようです」
「それじゃ奥さんだけが例外なんですか」
「いいえ私も嫌われている一人なんです」
「そりゃ嘘です」
「奥さん自身嘘と知りながらそうおっしゃるんでしょう」
「なぜ」
「私にいわせると、奥さんが好きになったから世間が嫌いになるんですもの」
「あなたは学問をする方だけあって、なかなかお上手ね。空っぽな理屈を使いこなす事が。世の中が嫌いになったから、私までも嫌いになったんだともいわれるじゃありませんか。それと同なじ理屈で」
「両方ともいわれる事はいわれますが、この場合は私の方が正しいのです」
「議論はいやよ。よく男の方は議論だけなさるのね、面白そうに。空の盃でよくああ飽きずに献酬ができると思いますわ」