夏目漱石 『こころ』 「先生はなぜああやって、宅で考えたり勉強し…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『こころ』

現代語化

「先生、なんで家に引きこもってばっかで、外に出て働かないんですか?」
「あの人ダメよ。そういうの嫌いなんだって」
「つまんないとか思ってるってことですか?」
「そうじゃないと思いますよ。何かやりたいのにできないんです。だからかわいそうなんです」
「でも先生って健康そうじゃないですか?」
「元気ですよ。何も病気はないです」
「じゃあなんで仕事できないんですか?」
「それがわからないのよ。わかればこんな心配してないわ。わからないから気の毒なんです」

原文 (会話文抽出)

「先生はなぜああやって、宅で考えたり勉強したりなさるだけで、世の中へ出て仕事をなさらないんでしょう」
「あの人は駄目ですよ。そういう事が嫌いなんですから」
「つまり下らない事だと悟っていらっしゃるんでしょうか」
「悟るの悟らないのって、――そりゃ女だからわたくしには解りませんけれど、おそらくそんな意味じゃないでしょう。やっぱり何かやりたいのでしょう。それでいてできないんです。だから気の毒ですわ」
「しかし先生は健康からいって、別にどこも悪いところはないようじゃありませんか」
「丈夫ですとも。何にも持病はありません」
「それでなぜ活動ができないんでしょう」
「それが解らないのよ、あなた。それが解るくらいなら私だって、こんなに心配しやしません。わからないから気の毒でたまらないんです」


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