夏目漱石 『薤露行』 「無心ながら宿貸す人に申す」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『薤露行』

現代語化

「宿を貸してくれた主人に頼みたいことがある」
「明日行われる試合に、遅れて参加することになりました。新しいことを嫌わず、古くても捨てずにいる人で、見知らぬ人の盾があれば貸していただけませんか」
「ご要望の盾をお貸ししましょう。――長男チアは前回の騎士の試合で足を痛めて、まだ床に伏しております。そのとき彼が持っていたのは、白地に赤い十字架が染め抜かれた盾です。ただ一度の試合で傷つき、その傷口はまだ癒えておらず、赤い血痕が壁で無駄に古くなっています。これを掲げて思うがままに人々を驚かせてください」
「それこそ」
「シェラヴェンは元気そうな若者ですが、アーサー王の催す晴れの試合に参上しなければ、騎士として残念でしょう。あなたの栗毛の蹄の後に付き添うよう伝えます」
「分かりました」<ctrl100>

原文 (会話文抽出)

「無心ながら宿貸す人に申す」
「明日と定まる仕合の催しに、後れて乗り込む我の、何の誰よと人に知らるるは興なし。新しきを嫌わず、古きを辞せず、人の見知らぬ盾あらば貸し玉え」
「望める盾を貸し申そう。――長男チアーは去ぬる騎士の闘技に足を痛めて今なお蓐を離れず。その時彼が持ちたるは白地に赤く十字架を染めたる盾なり。ただの一度の仕合に傷きて、その創口はまだ癒えざれば、赤き血架は空しく壁に古りたり。これを翳して思う如く人々を驚かし給え」
「それこそは」
「舎ラヴェンは健気に見ゆる若者にてあるを、アーサー王の催にかかる晴の仕合に参り合わせずば、騎士の身の口惜しかるべし。ただ君が栗毛の蹄のあとに倶し連れよ。翌日を急げと彼に申し聞かせんほどに」
「心得たり」


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