GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『彼岸過迄』
現代語化
「実は僕も雨の日に断られた一人なんだけど……」
「あなたもツイてないわね。きっとあの洋杖を持って行かなかったんでしょう?」
「だってしょうがないでしょ、雨の日に洋杖なんて持ってたら。ねえ、田川さん」
「そもそも田川さんの洋杖って、どんな洋杖なの?ちょっと見せて。見せてちょうだい、ね、田川さん。下に取りに行ってもいいわよ」
「今日は持ってきてません」
「なんで持ってないの?今日はあなた、いい天気じゃない」
「大切な洋杖だから、天気がいい日でも、普段は使わないんだって」
「本当?」
「まあそうです」
「じゃあ旗日だけ使うの?」
原文 (会話文抽出)
「あの叔父さんも随分変ってるのね。雨が降ると一しきりよく御客を断わった事があってよ。今でもそうかしら」
「実は僕も雨の降る日に行って断られた一人なんだが……」
「君も随分運の悪い男だね。おおかた例の洋杖を持って行かなかったんだろう」
「だって無理だわ、雨の降る日に洋杖なんか持って行けったって。ねえ田川さん」
「いったい田川さんの洋杖って、どんな洋杖なの。わたしちょっと見たいわ。見せてちょうだい、ね、田川さん。下へ行って見て来ても好くって」
「今日は持って来ません」
「なぜ持って来ないの。今日はあなたそれでも好い御天気よ」
「大事な洋杖だから、いくら好い御天気でも、ただの日には持って出ないんだとさ」
「本当?」
「まあそんなものです」
「じゃ旗日にだけ突いて出るの」