夏目漱石 『彼岸過迄』 「それでいて、碁を打つ、謡を謡う。いろいろ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『彼岸過迄』

現代語化

「それでいて、碁を打ったり、謡を謡ったり。いろいろやってるみたいですね。でもどれも下手くそらしいですけど」
「それが余裕がある証拠じゃないですか?」
「余裕ってなに?――僕は昨日雨が降るから天気のいい日に来てくれって、あなたを断わったでしょう。その理由は今言う必要はないけど、とにかくそんな勝手な断り方が世間にあると思いますか。田口だったらそうは断らないはずですよ。田口が人と会いたがるのはどうしてだと思います?田口は世の中になにかを求めているからですよ。つまり僕みたいなただの遊び人じゃないからです。いくら他の人の機嫌を損ねたとしても、どうでもいいっていう余裕がないからですよ」
「実は田口さんからは何も聞いてきてないんですが、今お使いになった『高等遊民』という言葉は本当の意味で使ってるんですか?」
「字の通り、僕はただの遊び人です。なぜ?」

原文 (会話文抽出)

「それでいて、碁を打つ、謡を謡う。いろいろな事をやる。もっともいずれも下手糞なんですが」
「それが余裕のある証拠じゃないでしょうか」
「余裕って君。――僕は昨日雨が降るから天気の好い日に来てくれって、あなたを断わったでしょう。その訳は今云う必要もないが、何しろそんなわがままな断わり方が世間にあると思いますか。田口だったらそう云う断り方はけっしてできない。田口が好んで人に会うのはなぜだと云って御覧。田口は世の中に求めるところのある人だからです。つまり僕のような高等遊民でないからです。いくら他の感情を害したって、困りゃしないという余裕がないからです」
「実は田口さんからは何にも伺がわずに参ったのですが、今御使いになった高等遊民という言葉は本当の意味で御用いなのですか」
「文字通りの意味で僕は遊民ですよ。なぜ」


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