夏目漱石 『彼岸過迄』 「そう感心していつまでも眺めていちゃあいけ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『彼岸過迄』

現代語化

「感心してる場合じゃないですよ」
「番地が書いてないようですけど」
「ああそうか。それは俺のミスだ」
「これならいいでしょう。まずまずのところですよ。土橋の大寿司みたいに大きくはないですね。でも役に立てばいいんですから、我慢してください」
「いえ、結構です」
「ついでに女性の方にも手紙を書きましょうか?」
「女性も知ってるんですか?」
「多分知ってると思います」
「差し支えなければ、ついでにお願いしてもいいですか?」
「まあやめておいた方がいいでしょう。あなたくらいの若い男性を紹介して、もし何か問題が起きても責任問題になるかもしれないんですから。ロマンチストとか何とか言うじゃありませんか、あなたのような人のことを。私は学問がないから、今流行りのオシャレな言葉がすぐ出てこないんですが、あの、小説家が使う言葉はどうでしたっけね。……」

原文 (会話文抽出)

「そう感心していつまでも眺めていちゃあいけない」
「番地が書いてないようですが」
「ああそうか。そいつは私の失念だ」
「さあこれなら好いでしょう。不味くって大きなところは土橋の大寿司流とでも云うのかな。まあ役に立ちさえすればよかろう、我慢なさい」
「いえ結構です」
「ついでに女の方へも一通書きましょうか」
「女も御存じなのですか」
「ことによると知ってるかも知れません」
「御差支さえなければ、おついでに一本書いていただいても宜しゅうございます」
「まあ止した方が安全でしょうね。あなたのような年の若い男を紹介して、もし間違でもできると責任問題だから。浪漫―何とか云うじゃありませんか、あなたのような人の事を。私ゃ学問がないから、今頃流行るハイカラな言葉を直忘れちまって困るが、何とか云いましたっけね、あの、小説家の使う言葉は。……」


青空文庫現代語化 Home リスト