夏目漱石 『彼岸過迄』 「そうです御通知のあった人だけはやっと探し…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『彼岸過迄』

現代語化

「はい。連絡があった人のみやっと探し当てました」
「眉間にホクロありましたか?」
「服装もこっちから言ってた通りでしたか。黒の中折帽に、霜降の外套を着て」
「そうです」
「それじゃほぼ間違いないでしょう。4時と5時の間に小川町で降りたんですよね?」
「時間はちょっと遅れたようです」
「何分くらい?」
「何分か分かりませんが、5時だいぶ過ぎたようです」
「だいぶ過ぎ。だいぶ過ぎならそんな人待ってる必要ないじゃないですか。4時から5時までの間と、わざわざ時間を指定して連絡したくらいだから、5時過ぎたらもうあなたの仕事はほぼ終わったようなもんなのに。なんでそのまま帰って、その通り報告しないんですか?」

原文 (会話文抽出)

「そうです御通知のあった人だけはやっと探し当てました」
「眉間に黒子がありましたか」
「衣服もこっちから云って上げた通りでしたか。黒の中折に、霜降の外套を着て」
「そうです」
「それじゃ大抵間違はないでしょう。四時と五時の間に小川町で降りたんですね」
「時間は少し後れたようです」
「何分ぐらい」
「何分か知りませんが、何でも五時よっぽど過のようでした」
「よっぽど過。よっぽど過ならそんな人を待っていなくても好いじゃありませんか。四時から五時までの間と、わざわざ時間を切って通知して上げたくらいだから、五時を過ぎればもうあなたの義務はすんだも同然じゃないですか。なぜそのまま帰って、その通り報知しないんです」


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