夏目漱石 『虞美人草』 「こう日が照ると、麦の香が鼻の先へ浮いてく…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「こう日が照ると、麦の香りが鼻に来ますね」
「香りするの?僕には全然分からないんだけど」
「ところで君はやっぱりあのハムレットの家に行くの?」
「甲野の家かい?まだ行ってます。今日もこれから行くんだ」
「こないだ京都へ行ったそうじゃない?もう帰ったの?ちょっと麦の香りでも嗅いできたのかな?――つまらない奴だよね、あれは。何だか陰気な顔ばかりしてるじゃないか」
「そうだね」
「ああいう人間は早く死んでくれたほうがいい。かなり財産があるのか?」
「あるみたいだね」
「あの親戚の人はどうした?学校で時々顔を見たけど」
「宗近かい?」
「そうそう。あの男のところへ2、3日中に行ってみようと思ってる」
「何しに?」
「頼みに行くんだ。できるだけ運動しておかないといけないから」
「だって、宗近だって外交官の試験に受からず困ってるんだよ。頼んだって無理でしょ」
「なに、構わない。話に行ってみる」
「先生のとこにはいつ行ってくれるの?」
「今夜か明日の朝に行くよ」
「そうか」

原文 (会話文抽出)

「こう日が照ると、麦の香が鼻の先へ浮いてくるようだね」
「香がするかの。僕にはいっこうにおわんが」
「時に君はやはりあのハムレットの家へ行くのか」
「甲野の家かい。まだ行っている。今日もこれから行くんだ」
「この間京都へ行ったそうじゃな。もう帰ったか。ちと麦の香でも嗅いで来たか知らんて。――つまらんのう、あんな人間は。何だか陰気くさい顔ばかりしているじゃないか」
「そうさね」
「ああ云う人間は早く死んでくれる方が好え。だいぶ財産があるか」
「あるようだね」
「あの親類の人はどうした。学校で時々顔を見たが」
「宗近かい」
「そうそう。あの男の所へ二三日中に行こうと思っとる」
「何しに」
「口を頼みにさ。できるだけ運動して置かんと駄目だからな」
「だって、宗近だって外交官の試験に及第しないで困ってるところだよ。頼んだってしようがない」
「なに構わん。話に行って見る」
「君、先生のところへはいつ行ってくれる」
「今夜か明日の朝行ってやる」
「そうか」


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