夏目漱石 『虞美人草』 「その代り先生の世話は生涯する考だ。僕もい…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「その代わり先生の世話は生涯するつもりだ。僕もいつまでもこんなにぐずぐずしてるつもりでもないから――実を言うと先生も昔みたいに経済的に楽じゃないみたいなんだ。だからなおさら気の毒なんだ。今回の相談もただ結婚という単純な問題じゃなくて、それを口実に、僕の援助を受けたいような様子も見えたくらいだ。だから、そりゃやるよ。あくまでも先生のために尽くすつもりだ。だけど結婚したから尽くす、結婚しないから尽くさないなんて、そんな軽薄な考えは少しもこっちにはないんだから――お世話になった以上はどうしたってお世話になったのさ。それを返してしまうまではどうしたって恩は消えないからな」
「君は感心な奴だ。先生が聞いたらさぞ喜ぶだろう」
「よく僕の意志が伝わるように言ってくれよ。誤解されるとまたあとで困るから」
「よし。感情を害さないように、よく伝えておく。その代わり10円貸すよ」
「貸すかい?」

原文 (会話文抽出)

「その代り先生の世話は生涯する考だ。僕もいつまでもこんなにぐずぐずしているつもりでもないから――実のところを云うと先生も故のように経済が楽じゃないようだ。だからなお気の毒なのさ。今度の相談もただ結婚と云う単純な問題じゃなくって、それを方便にして、僕の補助を受けたいような素振も見えたくらいだ。だから、そりゃやるよ。飽くまでも先生のために尽すつもりだ。だが結婚したから尽す、結婚せんから尽さないなんて、そんな軽薄な料簡は少しもこっちにゃないんだから――世話になった以上はどうしたって世話になったのさ。それを返してしまうまではどうしたって恩は消えやしないからな」
「君は感心な男だ。先生が聞いたらさぞ喜ぶだろう」
「よく僕の意志が徹するように云ってくれたまえ。誤解が出来るとまた後が困るから」
「よし。感情を害せんようにの。よう云うてやる。その代り十円貸すんぜ」
「貸すよ」


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