夏目漱石 『虞美人草』 「あんまり、勉強なさるとかえって金時計が取…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「あんまり勉強すると逆に金時計が取れないですよ」
「実は一週間前に京都から昔の先生が来たもので……」
「あら、そうなの。全然知らなかった。それじゃ忙しいわけね。そうとも知らずに、とんでもない失礼を言ってしまいました」
「京都にいたとき、とてもお世話になったもので……」
「だから、いいじゃないの。大事にしてあげたら。――私はね。昨夜兄と一さんと糸さんと一緒に、イルミネーションを見に行ったんですよ」
「ああ、そうですか」
「ええ、そうして、あの池のところに亀屋の屋台があるでしょう。――ねえ知ってますよね、小野さん」
「ええ――知って――います」
「知ってますよね。――行ったことがありますよね。あそこでみんなで御茶を飲んだんです」
「すごくおいしいお茶でしたよ。あなた、まだ入ったことないの」
「まだ入ったことないなら、今度ぜひその京都の先生を案内してください。私もまた一さんに連れて行ってもらうつもりですから」

原文 (会話文抽出)

「あんまり、勉強なさるとかえって金時計が取れませんよ」
「実は一週間前に京都から故の先生が出て来たものですから……」
「おや、そう、ちっとも知らなかったわ。それじゃ御忙い訳ね。そうですか。そうとも知らずに、飛んだ失礼を申しまして」
「京都におった時、大変世話になったものですから……」
「だから、いいじゃありませんか、大事にして上げたら。――私はね。昨夕兄と一さんと糸子さんといっしょに、イルミネーションを見に行ったんですよ」
「ああ、そうですか」
「ええ、そうして、あの池の辺に亀屋の出店があるでしょう。――ねえ知っていらっしゃるでしょう、小野さん」
「ええ――知って――います」
「知っていらっしゃる。――いらっしゃるでしょう。あすこで皆して御茶を飲んだんです」
「大変旨い御茶でした事。あなた、まだ御這入になった事はないの」
「まだ御這入にならないなら、今度是非その京都の先生を御案内なさい。私もまた一さんに連れて行って貰うつもりですから」


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