夏目漱石 『虞美人草』 「通り路にないって……まあどこから登ったか…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』

現代語化

「通り道にないって……まあどこから登ったか知らないけど――吉田かい」
「甲野さん、あれは何ていうところですか?僕らが登ったのは」
「何ていうところか知ら」
「おじいさんが一本橋を渡ったんですよ」
「一本橋を?」
「うん、――一本橋を渡ったな、君、――もう少し行くと若狭へ出るところだそうです」
「そんなに早く若狭に出るわけないよ」
「だって君が、そう言ったじゃないですか」
「それは冗談だよ」
「ハハハ、若狭に出ちゃ大変だ」
「そもそもあなたが方はただ歩くだけで飛脚みたいだからダメなんだ。――比叡山には東塔、西塔、横川があって、その3ヶ所を毎日往復して修行にしてる人もいるぐらい広いところなんだよ。ただ登って下るだけならどこの山に登ったって同じでしょ」
「なに、ただの山のつもりで登ったんです」
「ハハハ、それじゃ足の裏にマメを作るために登ったようなものだ」
「マメは確かです。マメはそっちの担当ですね」

原文 (会話文抽出)

「通り路にないって……まあどこから登ったか知らないが――吉田かい」
「甲野さん、あれは何と云う所かね。僕らの登ったのは」
「何と云う所か知ら」
「阿爺何でも一本橋を渡ったんですよ」
「一本橋を?」
「ええ、――一本橋を渡ったな、君、――もう少し行くと若狭の国へ出る所だそうです」
「そう早く若狭へ出るものか」
「だって君が、そう云ったじゃないか」
「それは冗談さ」
「アハハハハ若狭へ出ちゃ大変だ」
「一体御前方はただ歩行くばかりで飛脚同然だからいけない。――叡山には東塔、西塔、横川とあって、その三ヵ所を毎日往来してそれを修業にしている人もあるくらい広い所だ。ただ登って下りるだけならどこの山へ登ったって同じ事じゃないか」
「なに、ただの山のつもりで登ったんです」
「アハハハそれじゃ足の裏へ豆を出しに登ったようなものだ」
「豆はたしかです。豆はそっちの受持です」


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