GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『虞美人草』
現代語化
「だから小野的だって言うんだ」
「でも都踊りはいいよ」
「悪くないね。何となく気分が乗る」
「いいえ。あれを見るとほとんど異性の感じがない。女もあれほどに飾ると、飾り立てすぎて人間らしさがなくなる」
「そうだ、その理想の極端は京人形だ。人形は機械だから嫌味がない」
「やっぱり淡化粧で、活動的な人のほうが人間らしさが多くて危険だ」
「ハハハハ、どんな哲学者でも危険だろうな。でも都踊なら、外交官でも危なくない。同感だ。お互いに無事なところで遊べてよかったよ」
「人間らしさっても、一番大事なところで活動すると善いんだけど、普通は十番目くらいのどうでもいいところで目立ってしまってうんざりする」
「お互いは何番目くらいだろう?」
「お互いとくれば、それなりに人間は上等だから、2、3番目くらいには入ってるんじゃないの?」
「これでかい?」
「言うことは大したことなくても、そこに面白味がある」
「ありがたいな。一番大事なことって、どんな活動だい?」
「一番大事なこと?一番大事なことってのは、血を見ないと出てこないよ」
「それは危険だ」
「血でふざけた考えを洗い流した時に、一番大事なことってのははっきり現れる。人間はそれほど軽薄なものなんだよ」
「自分の血か、人の血か?」
原文 (会話文抽出)
「京都のものは朝夕都踊りをしている。気楽なものだ」
「だから小野的だと云うんだ」
「しかし都踊はいいよ」
「悪るくないね。何となく景気がいい」
「いいえ。あれを見るとほとんど異性の感がない。女もあれほどに飾ると、飾りまけがして人間の分子が少なくなる」
「そうさその理想の極端は京人形だ。人形は器械だけに厭味がない」
「どうも淡粧して、活動する奴が一番人間の分子が多くって危険だ」
「ハハハハいかなる哲学者でも危険だろうな。ところが都踊となると、外交官にも危険はない。至極御同感だ。御互に無事な所へ遊びに来てまあ善かったよ」
「人間の分子も、第一義が活動すると善いが、どうも普通は第十義ぐらいがむやみに活動するから厭になっちまう」
「御互は第何義ぐらいだろう」
「御互になると、これでも人間が上等だから、第二義、第三義以下には出ないね」
「これでかい」
「云う事はたわいがなくっても、そこに面白味がある」
「ありがたいな。第一義となると、どんな活動だね」
「第一義か。第一義は血を見ないと出て来ない」
「それこそ危険だ」
「血でもってふざけた了見を洗った時に、第一義が躍然とあらわれる。人間はそれほど軽薄なものなんだよ」
「自分の血か、人の血か」