夏目漱石 『硝子戸の中』 「その金なら取らないよ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『硝子戸の中』

現代語化

「その金は貰わないよ」
「なんで?」
「なんでって貰わない」
「そうか。でもなんか微妙だな。ただ本だけ返すのも変だし。本返すくらいなら25銭くらい貰ったら?」
「本は俺のだよ。一度買ったら俺のものに決まってるじゃん」
「それはそうだけどさ。そっちの家に困ってる人がいるわけだし」
「だから返すって言ってるだろ。でも俺は金は貰わないんだ」
「そんなわけわかんないこと言わずに、まあ貰っといてよ」
「俺はあげるんだって。俺の本だけど、欲しければあげるよ。あげるんだから本だけ持って帰ればいいじゃん」
「そうか。それじゃあそうしよう」

原文 (会話文抽出)

「その金なら取らないよ」
「なぜ」
「なぜでも取らない」
「そうか。しかしつまらないじゃないか、ただ本だけ返すのは。本を返すくらいなら二十五銭も取りたまいな」
「本は僕のものだよ。いったん買った以上は僕のものにきまってるじゃないか」
「そりゃそうに違いない。違いないが向の宅でも困ってるんだから」
「だから返すと云ってるじゃないか。だけど僕は金を取る訳がないんだ」
「そんな解らない事を云わずに、まあ取っておきたまいな」
「僕はやるんだよ。僕の本だけども、欲しければやろうというんだよ。やるんだから本だけ持ってったら好いじゃないか」
「そうかそんなら、そうしよう」


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