夏目漱石 『永日小品』 「これが何にでも変化する。衣服にもなれば、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『永日小品』

現代語化

「これが何にでも変わっちゃう。服にもなるし、食べ物にもなる。電車にもなるし、ホテルにもなる」
「くだらないな。当たり前のことじゃないか」
「いや、当たり前じゃないんだ。この丸がね」
「この丸が善人にもなるし悪人にもなる。天国にも行くし、地獄にも行く。あまり便利すぎるよ。まだ文明が進まないから困る。人類がもう少し進歩すれば、お金の使い方に制限をつけるようになるのは明らかだ」
「どうしてですか?」
「どうしても良いんだけど、――例えばお金を5色に分けて、赤いお金、青いお金、白いお金とかにしてもいいだろう」
「それで、どうするんですか?」
「どうするって。赤いお金は赤い区域内だけで通用するようにする。白いお金は白い区域内だけで使うことにする。もし別の区域に出ると、瓦の破片みたいに使えなくなって、融通が効かないようにするんだ」

原文 (会話文抽出)

「これが何にでも変化する。衣服にもなれば、食物にもなる。電車にもなれば宿屋にもなる」
「下らんな。知れ切ってるじゃないか」
「否、知れ切っていない。この丸がね」
「この丸が善人にもなれば悪人にもなる。極楽へも行く、地獄へも行く。あまり融通が利き過ぎるよ。まだ文明が進まないから困る。もう少し人類が発達すると、金の融通に制限をつけるようになるのは分り切っているんだがな」
「どうして」
「どうしても好いが、――例えば金を五色に分けて、赤い金、青い金、白い金などとしても好かろう」
「そうして、どうするんだ」
「どうするって。赤い金は赤い区域内だけで通用するようにする。白い金は白い区域内だけで使う事にする。もし領分外へ出ると、瓦の破片同様まるで幅が利かないようにして、融通の制限をつけるのさ」


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