夏目漱石 『坊っちゃん』 「なんでバッタなんか、おれの床の中へ入れた…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『坊っちゃん』

現代語化

「なんでバッタなんか、俺の部屋に入れちゃったの?」
「バッタってなんですか?」
「バッタを知らないの?知らないんなら見せてやるよ」
「さっきのバッタを持ってきて」
「さっきのはもうゴミ箱に捨てちゃいましたが、拾ってきますか?」
「うん、すぐ拾ってこい」
「申し訳ないんですが、夜なのでこれだけしか見つかりませんでした。明日になったらもっと拾ってきます」
「バッタってこれだ、でかい体してるのに、バッタを知らないとか、どういうことだ」
「あれはイナゴじゃないんですか?」
「バカ野郎、イナゴもバッタも同じだろ。そもそも先生を捕まえてどうするつもりだったんだ。菜飯は田楽の時以外に食うもんじゃないよ」
「菜飯とイナゴは別物ですよ」
「イナゴでもバッタでも、何で俺の部屋に入れちゃったんだ。俺がいつ、バッタを入れてくれって言った?」
「誰も入れようと思って入れたわけじゃないですよ」
「入れてないのに、どうして部屋の中にあるんだ?」
「イナゴは暖かいところが好きなので、勝手に部屋に入ってきたんじゃないですか?」
「ふざけるな。バッタが勝手に部屋に入ってくるとか――バッタに入られるなんてありえないって――さあ、なんでこんないたずらをしたのか、言え」
「そんなこと言われても、入れてないものを説明しようがないですよ」

原文 (会話文抽出)

「なんでバッタなんか、おれの床の中へ入れた」
「バッタた何ぞな」
「バッタを知らないのか、知らなけりゃ見せてやろう」
「さっきのバッタを持ってこい」
「もう掃溜へ棄ててしまいましたが、拾って参りましょうか」
「うんすぐ拾って来い」
「どうもお気の毒ですが、生憎夜でこれだけしか見当りません。あしたになりましたらもっと拾って参ります」
「バッタたこれだ、大きなずう体をして、バッタを知らないた、何の事だ」
「そりゃ、イナゴぞな、もし」
「篦棒め、イナゴもバッタも同じもんだ。第一先生を捕まえてなもした何だ。菜飯は田楽の時より外に食うもんじゃない」
「なもしと菜飯とは違うぞな、もし」
「イナゴでもバッタでも、何でおれの床の中へ入れたんだ。おれがいつ、バッタを入れてくれと頼んだ」
「誰も入れやせんがな」
「入れないものが、どうして床の中に居るんだ」
「イナゴは温い所が好きじゃけれ、大方一人でおはいりたのじゃあろ」
「馬鹿あ云え。バッタが一人でおはいりになるなんて――バッタにおはいりになられてたまるもんか。――さあなぜこんないたずらをしたか、云え」
「云えてて、入れんものを説明しようがないがな」


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