夏目漱石 『二百十日』 「おおおい」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『二百十日』

現代語化

「おい、おい、どこだ?」
「ここだよ。軽々しく来ると危ないぞ。落ちちゃうよ」
「落ちたのはどこだ?」
「ここだよ。注意して」
「気をつけてるけど、どこへ落ちたのか教えてくれ」
「落ちると足が痛いぞ」
「大丈夫だから、どこへ落ちたのか教えてくれ」
「ここだよ。もうこれ以上進んじゃダメだ。俺がそっちに行くから、そこで待ってて」
「おい、落ちたよ」
「どこへ落ちたんだ?」
「見えないか?」
「見えない」
「じゃあ、ちょっと前へ出てみる」
「おや、これは何だ?」
「この草の中にあるものがあるから危ないんだ」
「どうしてこんな谷があるんだろう?」
「溶岩が流れた跡だよ。見てみろ、中は茶色くて草が生えてない」
「なるほど、厄介なものがあるんだね。君、上れる?」
「無理すぎるよ。高さが6メートルもある」
「困った。どうすればいい?」
「僕の頭が見える?」
「栗の殻みたいのがちょっと見える」
「それに向かって、地面にへばりついて顔だけ谷の上に出してみる」
「OK、そろそろ顔出すから待ってて」
「うん、待ってろよ」

原文 (会話文抽出)

「おおおい」
「おおおい」
「おおおい」
「おおおい」
「おおおい」
「おおおい」
「おおおい。どこだ」
「おおおい。ここだ」
「どこだああ」
「ここだああ。むやみにくるとあぶないぞう。落ちるぞう」
「どこへ落ちたんだああ」
「ここへ落ちたんだああ。気をつけろう」
「気はつけるが、どこへ落ちたんだああ」
「落ちると、足の豆が痛いぞうう」
「大丈夫だああ。どこへ落ちたんだああ」
「ここだあ、もうそれから先へ出るんじゃないよう。おれがそっちへ行くから、そこで待っているんだよう」
「おい、落ちたよ」
「どこへ落ちたんだい」
「見えないか」
「見えない」
「それじゃ、もう少し前へ出た」
「おや、何だい、こりゃ」
「草のなかに、こんなものがあるから剣呑だ」
「どうして、こんな谷があるんだろう」
「火熔石の流れたあとだよ。見たまえ、なかは茶色で草が一本も生えていない」
「なるほど、厄介なものがあるんだね。君、上がれるかい」
「上がれるものか。高さが二間ばかりあるよ」
「弱ったな。どうしよう」
「僕の頭が見えるかい」
「毬栗の片割れが少し見える」
「君ね」
「ええ」
「薄の上へ腹這になって、顔だけ谷の上へ乗り出して見たまえ」
「よし、今顔を出すから待っていたまえよ」
「うん、待ってる、ここだよ」


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