GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『二百十日』
現代語化
「僕のハンカチも、こんな感じだ」
「ひどいものだな」
「灰だ。灰が雨に溶けて降ってくるんだ。ほら、あの薄の上を見てみろ」
「なるほど」
「困ったな、これじゃ」
「大丈夫だよ。もうすぐそこだから。あの煙が出てるところを目指せばいいだけだ」
「目指すのはいいけど、この調子じゃ道が分からないよ」
「だから、さっきから待ってたんだよ。ここを左に行くか、右に行くか。ちょうど分かれ道なんだ」
「なるほど、どっちも道になってるね。――でも煙りの様子からすると、左に行く方が良さそうだ」
「そう思うかい。僕は右に行くつもりだ」
「なんで」
「なんでって、右の方には馬の足跡があるけど、左の方には1つもないんだ」
「そうなのか」
原文 (会話文抽出)
「なるほど、拭くと、着物がどす黒くなる」
「僕のハンケチも、こんなだ」
「ひどいものだな」
「よなだ。よなが雨に溶けて降ってくるんだ。そら、その薄の上を見たまえ」
「なるほど」
「困ったな、こりゃ」
「なあに大丈夫だ。ついそこだもの。あの煙りの出る所を目当にして行けば訳はない」
「訳はなさそうだが、これじゃ路が分らないぜ」
「だから、さっきから、待っていたのさ。ここを左りへ行くか、右へ行くかと云う、ちょうど股の所なんだ」
「なるほど、両方共路になってるね。――しかし煙りの見当から云うと、左りへ曲がる方がよさそうだ」
「君はそう思うか。僕は右へ行くつもりだ」
「どうして」
「どうしてって、右の方には馬の足跡があるが、左の方には少しもない」
「そうかい」