GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『河童』
現代語化
「ラップ、どうしたんだよって」
「いや、なんでもないんだけどさ...」
「僕は今日窓の外見てて、『おや、虫取り菫が咲いた』ってつぶやいたんです。そしたら妹が急に顔色変えて、『どうせ私なんて虫取り菫よ』って当たり散らすわけですよ?おまけにうちのおふくろも大の妹贔屓だから、やっぱり僕に怒鳴るんです」
「虫取り菫が咲いたってことが、なんで妹は嫌なの?」
「たぶん、雄の河童をつかまえるって意味に取ったんじゃないですかね。そこへおふくろと仲の悪い叔母も喧嘩に参加しちゃって、もう大騒ぎですよ。しかも毎日酔っ払ってる親父がその喧嘩を聞きつけて、誰彼構わず殴り始めたんです。それだけでも大変なのに、その間に弟が親父の財布盗んで、映画か何かに見に行っちゃったんです。僕は...。もう、僕は...」
原文 (会話文抽出)
「ラップ君、どうしたね。」
「ラップ君、どうしたねと言えば。」
「いや、なに、つまらないことなのですよ。――」
「僕はきょう窓の外を見ながら、『おや虫取り菫が咲いた』と何気なしにつぶやいたのです。すると僕の妹は急に顔色を変えたと思うと、『どうせわたしは虫取り菫よ』と当たり散らすじゃありませんか? おまけにまた僕のおふくろも大の妹贔屓ですから、やはり僕に食ってかかるのです。」
「虫取り菫が咲いたということはどうして妹さんには不快なのだね?」
「さあ、たぶん雄の河童をつかまえるという意味にでもとったのでしょう。そこへおふくろと仲悪い叔母も喧嘩の仲間入りをしたのですから、いよいよ大騒動になってしまいました。しかも年中酔っ払っているおやじはこの喧嘩を聞きつけると、たれかれの差別なしに殴り出したのです。それだけでも始末のつかないところへ僕の弟はその間におふくろの財布を盗むが早いか、キネマか何かを見にいってしまいました。僕は……ほんとうに僕はもう、……」