芥川龍之介 『河童』 「なに、プウ・フウ新聞の記者たちも全部労働…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『河童』

現代語化

「おい、プウ・フウ新聞の記者だって全員が労働者の味方じゃねえよ。少なくとも俺ら河童ってのは、誰の味方するよりまず自分たちの味方するからね...。でももっと厄介なのは、このゲエル自身も結局、他人に支配されてるってことなんだ。お前誰だと思う?俺のかみさんさ。美人のゲエル夫人さ」
「それはむしろ幸せなんじゃねえの?」
「とにかく俺は満足してるよ。でもこれもお前の前だけで...。河童じゃねえお前の前でだけ、本音で喋れるわけだ」
「じゃつまり、クオラックス内閣を牛耳ってるのはゲエル夫人ってこと?」
「そう言われればそうだな...。...でも7年前の戦争とかは、確か雌の河童が原因で始まったのは間違いない」
「戦争?この国にも戦争があったの?」
「あったよ。これからもいつあるかわかんねえよな。だって隣国がある限りは...」

原文 (会話文抽出)

「なに、プウ・フウ新聞の記者たちも全部労働者の味かたではありませんよ。少なくとも我々河童というものはだれの味かたをするよりも先に我々自身の味かたをしますからね。……しかしさらに厄介なことにはこのゲエル自身さえやはり他人の支配を受けているのです。あなたはそれをだれだと思いますか? それはわたしの妻ですよ。美しいゲエル夫人ですよ。」
「それはむしろしあわせでしょう。」
「とにかくわたしは満足しています。しかしこれもあなたの前だけに、――河童でないあなたの前だけに手放しで吹聴できるのです。」
「するとつまりクオラックス内閣はゲエル夫人が支配しているのですね。」
「さあそうも言われますかね。……しかし七年前の戦争などはたしかにある雌の河童のために始まったものに違いありません。」
「戦争? この国にも戦争はあったのですか?」
「ありましたとも。将来もいつあるかわかりません。なにしろ隣国のある限りは、……」


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