GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 森鴎外 『最後の一句』
現代語化
「もしもし」
「うるせえ。なんだよ」
「お奉行様に頼みごとがあるんで来てみました」
「え？」
「お奉行様には子供はお願いできないんで、親が出て来るのがいい」
「いいえ、父は明日に処刑されるんで、それについてお願いがあるんです」
「なんだ。明日処刑される。じゃあ、お前は桂屋太郎兵衛の息子か」
「はい」
「ふん」
「ひどい。子供までが上を恐れないんだな。お奉行様はお前らには会わない。帰れ帰れ」
「お姉ちゃん、怒られるから帰りましょうよ」
「黙ってなさい。怒られたって帰らないの。お姉ちゃんの言う通りにするのよ」
原文 (会話文抽出)
「そんなら、おいらの知つた町だ」
「もし／＼」
「やかましい。なんだ。」
「お奉行樣にお願があつてまゐりました」
「ええ」
「お奉行樣には子供が物を申し上げることは出來ない、親が出て來るが好い」
「いゝえ、父はあしたおしおきになりますので、それに就いてお願がございます。」
「なんだ。あしたおしおきになる。それぢやあ、お前は桂屋太郎兵衞の子か。」
「はい」
「ふん」
「怪しからん。子供までが上を恐れんと見える。お奉行樣はお前達にお逢はない。歸れ歸れ。」
「ねえさん、あんなに叱るから歸りませう。」
「默つてお出。叱られたつて歸るのぢやありません。ねえさんのする通りにしてお出。」