森鴎外 『寒山拾得』 「わたしに逢ひたいと云はれたさうだが、なん…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 森鴎外 『寒山拾得』

現代語化

「俺に会いたいって言ってたって聞いたけど、何の用?」
「どうやら台州に行かれるそうじゃないですか。しかも頭痛がひどいとか。それを治してあげようと思って来ました」
「確かにその通りで、頭痛がひどいから出発を延ばそうかと思ってるんだけど、どうやって治すつもりなんだ。薬でも知ってるのか?」
「いや。体にかかる病気ってのは全部まやかしなんだよ。このお椀にきれいな水が一杯あればいい。呪文で治してやるよ」
「はあ、呪文をやるのか」
「大丈夫だよ。一回試してみてよ」

原文 (会話文抽出)

「わたしに逢ひたいと云はれたさうだが、なんの御用かな。」
「あなたは台州へお出なさることにおなりなすつたさうでございますね。それに頭痛に惱んでお出なさると申すことでございます。わたくしはそれを直して進ぜようと思つて參りました。」
「いかにも言はれる通で、其頭痛のために出立の日を延ばさうかと思つてゐますが、どうして直してくれられる積か。何か藥方でも御存じか。」
「いや。四大の身を惱ます病は幻でございます。只清淨な水が此受糧器に一ぱいあれば宜しい。呪で直して進ぜます。」
「はあ呪をなさるのか。」
「仔細あるまい、一つまじなつて下さい」


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