新美南吉 『おじいさんのランプ』 「そいじゃ、残りの四十七のランプはどうした…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 新美南吉 『おじいさんのランプ』

現代語化

「んじゃ、残りの47個のランプどーしたの?」
「知らん。次の日、どこかの旅行者が拾ったかも」
「じゃ、家にランプ全部なくなったの?」
「うん、全部なくなった。このデスクランプだけ残った」
「損じゃん。47個も持っていかれちゃって」
「うん、損した。今考えたら、そんなことすんなくてもよかったなって思うよ。岩滑新田に電気がついた後でも、まだ50個くらいは売れたんだからさ。岩滑新田の南の深谷とかいう小さい村なんて、今でもランプ使ってるし、他にも遅くまでランプ使ってた村結構あったんだよ。でもまあ当時は元気だったからさ。思い立ったら考えずにバーッとやっちまったんだ」
「バカだったんだね」
「うん、バカだった。でもさ、東坊――」
「俺のやり方はちょっとバカだったけど、商売のやめ方は、自分で言うのもなんだけど、なかなか立派だったと思うよ。俺が言いたいのは、日本が進歩して自分の古い商売がいらなくなったら、潔くやめるってこった。いつまでもダサい古い商売にしがみついてたり、昔の方が良かったとか言ったり、世の中の進歩を恨んだり、そんなダセぇことは絶対にしないってことでさ」
「じいちゃんって偉かったんだな」

原文 (会話文抽出)

「そいじゃ、残りの四十七のランプはどうした?」
「知らん。次の日、旅の人が見つけて持ってったかも知れない」
「そいじゃ、家にはもう一つもランプなしになっちゃった?」
「うん、ひとつもなし。この台ランプだけが残っていた」
「損しちゃったね。四十七も誰かに持ってかれちゃって」
「うん損しちゃった。今から考えると、何もあんなことをせんでもよかったとわしも思う。岩滑新田に電燈がひけてからでも、まだ五十ぐらいのランプはけっこう売れたんだからな。岩滑新田の南にある深谷なんという小さい村じゃ、まだ今でもランプを使っているし、ほかにも、ずいぶんおそくまでランプを使っていた村は、あったのさ。しかし何しろわしもあの頃は元気がよかったんでな。思いついたら、深くも考えず、ぱっぱっとやってしまったんだ」
「馬鹿しちゃったね」
「うん、馬鹿しちゃった。しかしね、東坊――」
「わしのやり方は少し馬鹿だったが、わしのしょうばいのやめ方は、自分でいうのもなんだが、なかなかりっぱだったと思うよ。わしの言いたいのはこうさ、日本がすすんで、自分の古いしょうばいがお役に立たなくなったら、すっぱりそいつをすてるのだ。いつまでもきたなく古いしょうばいにかじりついていたり、自分のしょうばいがはやっていた昔の方がよかったといったり、世の中のすすんだことをうらんだり、そんな意気地のねえことは決してしないということだ」
「おじいさんはえらかったんだねえ」


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