GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』
現代語化
「嘘か?」
「いえ、人さらいは出るんでしょうが、あそこの近所の人で実際に見た人はいないそうですよ」
「じゃあ、そんな噂も立ってないんだな」
「そうです――また立たないのが当たり前でしょう。攫われた人はきっと帰ってこないんですから。だから、4、5日間も役所の耳に入らなかったんでしょ。でも、少し面白い話がありますよ。これって人さらいの幽霊とは別なんですけど、この頃あの土手の先に、美人のお母さんと娘さんがおでん屋台を出してるそうで、なんとあの娘さんがとんでもない美人で、しかも評判では琉球の芋焼酎だそうですが、とにかく味が変わってめちゃくちゃ辛くて美味しい変な酒を振る舞うっていうんで、大繁盛してるそうですよ。どうですか、拝みに行きましょうか?」
原文 (会話文抽出)
「ちえッ、だんなの気早にゃ少しあきれましたね。くたびれもうけでしたよ」
「うそか」
「いいえ、人さらいは出るでしょうがね、あの近所の者ではひとりも現場を見たものがないっていいますぜ」
「じゃ、そんなうわさも上っちゃいないんだな」
「さようで――また上らないのがあたりまえでしょうよ。さらわれたとすると、その人間はきっと帰ってこないんでしょうからね。だから、四日も五日もお上のお耳へ上らずにもいたんでしょうからね。しかし、ちょっとおつな話はございますよ。こいつあ人さらいの幽霊とは別ですがね、このごろじゅうから、あの土手の先へ、べっぴん親子のおでん屋が屋台を張るそうでしてね、なんでもその娘というのがすばらしい美人のうえに、人の評判では琉球の芋焼酎だといいますがね、とにかく味の変わったばかに辛くてうまい変てこりんな酒を飲ませるっていうんで、大繁盛だそうですよ。どうでごわす、拝みに参りましょうか」