佐々木味津三 『右門捕物帖』 「だんな! だんな! また変なことが一つ持…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「旦那!旦那!また変な話が出てきましたよ」
「それは、柳原の土手先に、4、5日前から変なおっかない人が出るそうですよ」
「人さらい? 誰から聞いたの?」
「組屋敷の旦那衆がさっき奉行所から帰ってきての話だそうで、さっき訴え出た人がいたんだそうです。なんでもそれが夜の9時頃に必ず出るんだそうですが、不思議なことに、まるで申し合わせたみたいに武士ばかりを攫うっていうんですよ」
「じゃあ、グループでも作った奴らなんだろうな」
「ところが、その人さらいは1人で現れるっていうんですから、腑に落ちないんですよ。その上、本当に足がなくて、全く姿を見せないっていうんだから、場所柄場所柄だけになんとなく幽霊じゃないかって話をしてるんです。そうでなければ、菰を被ったお嬢さん――」
「なんだ、その菰を被ったお嬢さんってやつは……」
「わかりますよね?辻君ですよ。夜鷹ですよ」
「なるほどな」

原文 (会話文抽出)

「だんな! だんな! また変なことが一つ持ち上がりましたぜ」
「ね、柳原の土手先に、四、五日まえからおかしな人さらいが出るそうですぜ」
「人さらい? だれから聞いた」
「組屋敷のだんながたがたったいま奉行所から帰ってきてのうわさ話をちらり耳に入れたんですがね。いましがた訴えた者があったんだそうで、なんでもそれが夜の九つ時分に決まって出るんだそうだがね。おかしいことは、申し合わせたようにお侍ばかりをさらうっていうんですよ」
「じゃ、徒党でも組んだ連中なんだな」
「ところが、その人さらい相手はたったひとりだというから、ふにおちないじゃごわせんか。そのうえに、正真正銘足がなくて、ちっとも姿を見せないっていうんだから、場所がらが場所がらだけに、幽霊だろうなんていってますぜ。でなきゃ、こもをかかえたお嬢さん――」
「なんだ、そのこもをかかえたお嬢さんてやつは……」
「知れたことじゃありませんか。つじ君ですよ。夜鷹ですよ」
「なるほどな」


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