GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』
現代語化
「お前も何か見つけたんだな」
「え、お前もってことは、じゃ、旦那も手がかりを掴みましたね。そうと決まったら手早く言いますけど、ちょうど昨日ですね。あれから家に帰りましたが、あばたの旦那にどうやられるかと思うと、腹が立って寝られなくて、ダメもとで、小田切のお屋敷の様子を見に行ったんです。そしたら、裏口のトイレの扉が少し開いてて、中間か何かでしょう、いい年をしたおじさんが、お酒の瓶を持って出てきたんですよ。こりゃ深酒の買い出しだなって思ったんで、あばたの手下どもが居眠りしてた隙に、うまくそのおじさんを捕まえて、近くの居酒屋で何杯かご馳走しながら、すっかりうちの様子を聞き出しましたよ」
「なに、うちの様子?それはお前にしては珍しい手柄だが、どんな筋なんだ」
「どんなもこんなも、つまり、その手がかりの犯人ですよ。あの、そのおじさんの話によると、1か月ほど前に小田切の家で長年働いてた用人が切られたらしいんです。でも、その切られた用人の顔が普通の顔じゃなくて、つまり、この事件のきっかけになった話だと思うんですけど、なんと、例の片目、左の目が、あの生首の顔みたいに、潰れてたっていうんですよ。だから、なるほどそうか、きっと誰かがその用人の恨みを晴らすために、あんな左目のない生首を作って、悪ふざけをしたんだなと思ったんで、すぐに、その用人に息子とか甥とか、血縁者はいないのかって聞きました」
「いたのか!」
「はい、いました。25、6の息子で、飲む、打つ、買うの三拍子そろったダメ人間がいたって言うんで、俺はもうすっかりそいつのしわざだと思いますよ」
「違うねえ」
「違うねえ」
原文 (会話文抽出)
「おっ、だんな! いいところで会いやした。もう、しめこのうさぎでがすよ」
「きさまも何かひきあげたな」
「え? きさまもというと、じゃ、だんなもほしを拾いましたね。そうと決まりゃてっとり早くいいますがね。ちょうどゆんべでさ。あれからうちへけえったんですが、あばたのだんなにしてやられるかと思うと、いかにも業腹で寝られませんからね、当たって砕けろと思って、実あこっそり小田切のお屋敷へ様子見に出かけたんでがすよ。するてえと、裏口の不浄門がこっそりあいて、中間かなんかでがしょう、いいかげん年寄りのおやじが、とくりをさげて出てきたじゃごわせんか。こいつ寝酒の買い出しだなとにらんだものでしたから、あばたのだんなの手下どもが居眠りしてたのをさいわい、うまいことそのおやじを抱き込んで、二、三本もよりの居酒屋でふるまいながら、すっかりうちの様子聞いちまったんでがすよ」
「なに、うちの様子? そいつぁおめえに似合わないてがらだが、ほしゃどんな筋だ」
「どんなにもこんなにも、つまり、そのほしが下手人でがさあ。ね、そのおやじのいうことにゃ、ついこの一カ月ばかりまえに、小田切のだんなのうちで長年使われていた用人がお手討ちになったっていうんでがすよ。ところが、その首にされた用人の顔てえものがただの顔じゃなくて、つまり、この事件の因縁話になるところだと思うんでがすがね。そら、例の目が、左の目玉が、あの生首の顔のように、一方つぶれていたというんでがすよ。だから、ははんそうか、さてはだれかその用人の身内の者がお手討ちの恨みを晴らすために、あんな左の目のない生首をこしらえて、味なまねしやがったんだなと思いましたからね、すぐにおやじへきいたんでがすよ。その用人にゃ、せがれか、甥か、血筋の者はなかったかってね」
「あったか!」
「大あり、大あり。二十五、六のせがれで、飲む、打つ、買うの三拍子そろったならず者があったというからね、あっしゃもうてっきりそいつのしわざだと思うんでがすがね」
「ちげえねえ」
「ちげえねえ」