佐々木味津三 『右門捕物帖』 「てまえも八丁堀で少しは人に知られた者でご…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「俺も八丁堀ではちょっと知られた男だ。わざわざあそこまで張り紙しておいたんだから、どんなことでもお前さんの力になってやるよ。まずはこの件の詳しい話を聞かせてくれないか?」
「はっ……」
「それなのに、どうして俺に信用できないのか?」
「いえ、い、いえいえそんなことはありません。あの張り紙を偶然見かけた時、あなたのことについても前から聞いておりましたので、これは良い味方ができたなと期待して、しばらくじっくり考えた末に、このように夜遅いことも承知の上で、お邪魔させていただいたんですが、いざとなると、やはりどうも……」
「打ち明けない方がいいってことか?」
「いえ、それをどうしたものかと、今もずっと迷ってます……」
「じゃあ、俺の方から聞くが、もしかして刀のことを調べに来たのか?」
「さすが、改めて感服しました。ここまでお見通しなら、これ以上隠しても無駄でしょうから、胸に秘めたことを打ち明けますが、決して他言はなさらないですよね?」
「そのとおりだ」

原文 (会話文抽出)

「てまえも八丁堀で少しは人に知られた者でござる。わざわざあのような張り紙をしておいてまいったからには、いかようなことなりとご貴殿の力になってしんぜようから、まず事の子細を先に承りましょうではござらぬか」
「はっ……」
「では、なんでござるな、てまえに信が置けぬと申すのでござるな」
「いいえ、め、めっそうもござりませぬ。あの張り紙をはからずも目に入れたとき、そなたさまのことはとうにてまえも聞き及んでござりましたので、これはよいおかたの味方を得たものだと存じまして、ふたときあまりも、とつおいつ思案ののちに、ようやっとこのように夜ふけのことをも存じながら、おじゃまさせていただきましてござりまするが、さていざとなると、やっぱりどうも……」
「打ちあけぬほうがよいと申さるるか」
「いいえ、それをどうしたものかと、今もなおかように思い迷ってでござります……」
「では、てまえのほうからお尋ね申すが、もしやそなたは刀の詮議をなさってではござらぬか」
「慧眼、いまさらのごとくに感服つかまつりました。それまでも、わたくし腹中をお見通しでござりましたら、このうえ隠すは無益にござりますので、いかにも胸中の秘密お明かしいたしまするが、けっしてお他言はござりませぬでしょうな」
「かくのとおりにござる」


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