佐々木味津三 『右門捕物帖』 「ね、だんな、だんな! 下手人の野郎は、い…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「ねえねえ、旦那!犯人はあの坊主で確定っすよ」
「でも、お宝持ってこないと意味なくない?」
「だから、あの坊主が臭いんですって。私が番所の者だって言ったら、急にいなくなっちゃったんですよ」
「え、マジか」
「マジですって!だから、私一人ぼっちで戻ってきたんですよ」
「じゃあ、事件についてなんか言ってたんだろ?」
「ところが、全然違うんです。あの坊主、爆睡してたみたいで、いきなり台所の方に行って、『番所でちょっと用があるんで、八丁堀まで来てくれ』って言ったら、パッと飛び起きて青くなって、そのままバーッと逃げちゃいました」
「なるほど、怪しくなってきたな」
「怪しいどころじゃねえっすよ。それで、久しぶりにお前の鼻を働かせてやろうと思って、近所の人にコッソリ調べてみたんすよ。そしたらなんと、あの坊主、『くま』って名前らしいっす」
「え、くま!?マジかよ!」
「さっき自分の耳で聞いたばっかだから、間違いないっすよ。変な名前っすけど、『永守熊仲』って言うみたいっす」

原文 (会話文抽出)

「ね、だんな、だんな! 下手人の野郎は、いよいよあの生臭坊主と決まりましたよ」
「だって、肝心の玉を連れてこないことにはしようがねえじゃないか」
「だから、あの坊主がくせえっていうんですよ。ね、あっしがお番所の者だといったら、やにわと逐電しちまいましたぜ」
「えッ、そりゃほんとうかい」
「ほんとうにもうそにも、だからこうやって、あっしひとりでけえったんじゃござんせんか」
「じゃ、なにか事件のことをにおわしたんだな」
「ところが、そいつがおおちげえなんですよ。どうやら、生臭坊主うたたねをしているようすだったからね、いきなり庫裡のほうへへえっていって、ちょっとお番所でききたいことがあるから、八丁堀まで来てくんなといったら、野郎むくりと起きざまに青くなって、そのままやにわとずらかってしまったんですよ」
「なるほどな、少しにおいがしてきたかな」
「においどころじゃねえんですよ。だから、久しぶりでひとつ、だんなの鼻をあかしてやろうと思ってね、近所の者にこっそり身がらを当たってみたら、なにをかくそう、あの生臭坊主がくまっていう名だそうですぜ」
「なに、くま! そりゃほんとうか!」
「ちゃんとこの耳でいま聞き出してきたばっかりだから、まちがいっこありませんよ。ちっと変な名なんですがね。永守熊仲っていうんだそうですぜ」


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