佐々木味津三 『右門捕物帖』 「少しくいぶかしい節があるが、これなる仏は…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「ちょっと疑わしいところがあるけど、この仏像は、本当に旦那さんの恒藤権右衛門殿と間違いありませんか」
「死者を辱めないでください!浪人者ではございますが侍の妻です。確かに主人の遺体と申しましたら、それに間違いございません」
「では、この右胸の下にある、卍の入れ墨は何の印ですか」
「それが証拠です。疑うのでしたら、立ち会っている皆さんにも聞いてください」
「皆さんも聞いたとおりですが、権右衛門殿の右胸の下に卍の入れ墨があったことを、どなたかご存知ですか」
「知ってますよ、知ってますよ。この前、旦那さんが縁側で全裸でいらっしゃったところを見てしまいましたからね。私が『妙な入れ墨ですね』と聞いたら、『なあに、お寺の娘と昔約束をしてな、忘れないように彫っておいたのさ』って、こうおっしゃってましたぜ」

原文 (会話文抽出)

「少しくいぶかしい節があるが、これなる仏は、たしかにご主人恒藤権右衛門どのに相違ないか」
「死者をお恥ずかしめなさりまするな! 浪人者ながらも武士の妻にござります。たしかに主人の死体と申しあげましたら、それに相違ござりませぬ」
「では、この右乳下の、卍のいれずみは何の印でござる!」
「それあればこそ、恒藤権右衛門のなによりな証拠にござりますゆえ、お疑いにござりますなら、お立ち会いのかたがたにもお尋ねくださりませ」
「そのほうどもも聞いてのとおりじゃが、権右衛門どのの右乳下に卍のいれずみのあったことを、だれぞ存じおるか」
「知ってますよ、知ってますよ。こないだ、だんながこの縁側で、もろはだ脱ぎでいたところを見やしたからね。わっちが妙ないれずみでござんすねと尋ねたら、なあに、お寺の娘と昔約束をしてな、忘れねえように彫っておいたのさって、こんなふうにおっしゃいましたぜ」


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