佐々木味津三 『右門捕物帖』 「みりゃあみなさんいずれも町家の者らしいが…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「皆さん、見ればどなたも町の方々みたいですが、恒藤家のご親戚たちですか」
「いえ、こちらは全員、お付き合いの町人ばかりです」
「では、ご親戚の方はなぜお呼びにならなかったんですか」
「ご親戚は皆、遠いところに住んでいますので、急にはお呼びできませんでした」
「知人も江戸にはいないんですか」
「はい、お1人もおりません」
「では、その6人に聞いてみます。一番前にいる人は何の商売ですか」
「私は米屋です」
「次の人は」
「八百屋の喜作と申します」
「その次の長身の男性は」
「長身だからそういうあだ名なんですけど、私は炭屋の馬吉です」
「人をからかうような言い方をする人だこと。次の人は」
「酒屋の甚兵衛でございます」
「その隣のチリチリ頭のオヤジは何者だ。按摩でもあるのか」
「じ、冗談じゃねえよ、こう見えても、この家の家主だぞ」
「そうですか、失礼しました。では、一番前にいるダンディな若者は何の商売ですか」
「へへ、俺のことばっかり、ダンディな若者って言ってくれるんですね。じゃ、それじゃあお礼に名乗りますけど、ところで、誰にしましょうか」
「そんなに何通りもあるのか」
「大体3つくらい。ウチの親方はヌケ作って言うんですけど、河岸のヤツらはポン助って呼んでますよ」
「よし、もうわかった。さては、きさまがさっき手紙の使いに来た魚勘とかいう若者だな」
「へえ、そうなんですけど、どうしてそれがおわかりになったんですか」
「きさま今、河岸って言ったじゃねえか」
「チッ、そんなことまで見抜いちゃうなんて、すごい親分だな。じゃ、俺が隣の『お美代坊』に去年から夢中になってることも、もうバレちゃってるのかな――」

原文 (会話文抽出)

「みりゃあみなさんいずれも町家の者らしいが、これが恒藤家のご親戚衆でござるか」
「いいえ、これはみな、出入りの町人ばかりでござります」
「では、ご親戚のかたがたをなぜお呼び召さらなかったか」
「いずれも遠国にござりますので、急の間には招きかねたゆえにござります」
「知人も江戸にはござらぬか」
「はっ、一人も居合わしませぬ」
「では、その六人に相尋ねる。そちらのいちばんはじにいるやつは何商売だ」
「てまえは米屋にござります」
「次はなんじゃ」
「やお屋の喜作と申します」
「その次の顔の長いのはなんじゃ」
「なげえ顔だからそんな名まえをつけたんじゃござんせんが、あっしゃ炭屋の馬吉と申しやす」
「人を食ったこと申すやつじゃな。お次はなんじゃ」
「酒屋の甚兵衛めにござります」
「その隣のくりくり頭をしたおやじは何者じゃ。按摩でもいたしおるか」
「じょ、じょうだんじゃござんせんぜ、こうみえても、この家の家主でござんすよ」
「さようか、失敬失敬。では、そちらのいちばんはじにいるいなせな若い者は何商売じゃ」
「うれしいな、わっちのことばかりゃ、いなせな若い者とおっしゃってくだせえましたね。それに免じて名を名のりてえが、ところで、どいつにしましょうかね」
「そんなにいくつもあるのか」
「ざっと三つばかり。うちの親方はぬけ作というんですがね。河岸のやつらはぽん助というんでげすよ」
「よし、もうあいわかった。さては、きさまがさっき手紙の使者に参った魚勘とかの若い者だな」
「へえ、そうなんですが、どうしてまたそれがおわかりなすったんですかい」
「きさま今、河岸といったじゃねえか」
「ちえッ、おっかねえことまで見ぬいてしまうだんなだな。してみるてえと、おれが隣のお美代坊に去年から夢中になっていることも、もうねたがあがっているんかな――」


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