佐々木味津三 『右門捕物帖』 「どうやら、由緒あるらしいかたがたのように…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「なんか由緒ある方みたいだけど、旦那さんは浪人だったんですか」
「はい……そうなんです」
「いや別に藩名とか浪人になった理由とか聞こうってことじゃねえんだ。武士だったかどうかだけわかればいいから、ハッキリ言ってくれ」
「じゃ言います。確かに権右衛門は親父さんの代まである家に仕えてて、そこそこ由緒ある家柄だったんですけど、本人が官僚が嫌いになって、もう10年くらい前から浪人してるんです」
「そうか。じゃあそんな目に遭ったのも、なんか恨みとかそういうのがあったんですか」
「それがあまりに理不尽なんで、訴えに来たんです」
「ほう、理不尽って?恨みとか覚えのないのに殺されたって言うんですか」
「はい、主人に限っては、誰にも恨まれる覚えはないのに、昨日の夜中の4時過ぎでした。このへんじゃあ珍しい辻占売りが声あげてたので、権右衛門が呼び入れたんです。そしたら突然旦那に飛びかかって、『長年の恨み思い知れ』とか言いながら、 feかく不意打ちしてきたんですよ」
「ふーん。で、その辻占売りって、大体何歳くらいでした?」
「27、8くらいでした。それに、さっきまで牢屋にでもいたような感じの人でした」

原文 (会話文抽出)

「どうやら、由緒あるらしいかたがたのように思われるが、ご主人はご浪人中ででもござったか」
「はっ……さよう……さようにござります」
「いや、ご藩名やご浪人をなさった子細までも聞こうというのではござらぬ。士籍にあられたかたかどうか承ればよろしゅうござるから、もっとはっきり申されませい」
「では申します。いかにも権右衛門は父の代までさるご家中で、相当由緒ある家門をつづけていた者にござりまするが、仕官をきらい、もう十年このかた浪人してでござります」
「さようか。では、不慮の災に会われたことも、なんぞ恨みの節とか、かたきの筋とかがあってのことでござったか」
「それがあんまり理不尽にござりますので、訴えに参ったわけでござります」
「ほう、理不尽とな。では、なんの恨みもうける覚えがないのに、討たれたと申さるるか」
「はっ、わたくし主人にかぎっては、なに一つ人さまから恨みなぞうける覚えはござりませぬのに、昨夜四つ過ぎでござりました。このあたりでは珍しいつじうら売りが流してまいりましたものでしたから、なにげなく権右衛門がそれなる者を呼び入れましたら、やにわに主人へ飛びかかりまして、長年の恨み思い知れと呼ばわりながら、ひきょうな不意打ちを食わしたのでござります」
「いかにもの。して、それなるつじうら売りは、どのくらいの年輩でござった」
「二十七、八くらいでござりました。そのうえ、つい今までご牢屋にでもつながれていたというような節の見うけられたかたでござりました」


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