佐々木味津三 『右門捕物帖』 「兄分らしくもねえ、あんまりどじなかっこう…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「兄貴らしくもねえ、あまりにも間抜けな格好してるといっしょにいるこのちっちゃなお公卿様に笑われるぜ。何がいったい理解できないのかよ」
「だって、よくまあ旦那にゃ、しょっぱなから化け右門があの一座にいるとおわかりでござんしたね。私はまた、あばたの敬公かだれかご番所の者が名をかたったと思ってたんですよ」
「間抜けだな。そんなことくらい、初めっから見抜けねえようでどうするんだい。大きな声じゃ言えないが、他人の名前の手柄までも横取りしたい連中はごまんといても、自分の挙げた手柄に人の名前を貸してやるような、器の広い者は、半分だってもご番所になんかいねえじゃねえか。それも、ほかの者の名前ならまだしも、このごろちっと手柄をあげすぎるために、内々妬まれている俺の名前なんぞ、ご番所の誰がかつぐもんかい。さっきの手裏剣少年じゃねえが、少し逆上しているようだから、冷やっこいところを2、3杯お見舞いしてやろうか」
「いいえ、けっこうです、けっこうです。そんなもなあお見舞いいただくには及びませんが、でも、なんだってまあ、あのひょっとこ親父の百面相が、命と引き換えに片棒をかつぐ気になったんでしょうね」
「そこがいわく言い難しだが、いずれは娘の大切なものでももらえる約束でもあったろうよ。だから、梅丸もそこは人気稼業で、若い男だったならともかく、相手の五十男だったことが恥ずかしくて、なかなか口を割ろうとしなかったろうさ」
「――考えてみりゃ、今日はお釈迦様が生まれた日のはずだったが、それだのにあんな罪の深い奴らがいるところを見ると、まだご利益が足りないのかな」

原文 (会話文抽出)

「兄分らしくもねえ、あんまりどじなかっこうすると、こちらのちっちゃなお公卿さまに笑われるぜ。なにがいったい考えに落ちねえのかい」
「だって、よくまあだんなにゃ、しょっぱなから化け右門があの一座にいるとおわかりでござんしたね。あっしゃまた、あばたの敬公かだれかご番所の者が名をかたりやがったと思ってたんですよ」
「どじだな。そんなことぐれえ、初めっから眼のつかねえようでどうするかい。大きな声じゃいわれねえが、他人の名まえの手がらまでも横取りしたい連中はうようよいても、自分のあげたてがらにひとの名まえを貸してやるような、ご了見の広い者は、半分だってもご番所になんぞいねえじゃねえか。それも、ほかの者の名まえならだが、このごろちっとてがらをあげすぎるために、内々そねまれているおれの名まえなんぞ、ご番所のだれがかたるもんかい。さっきの手裏剣少年じゃねえが、少し逆上しているようだから、冷やっこいところを二、三杯見舞ってやろうか」
「いいえ、けっこうです、けっこうです。そんなもなあお見舞いいただくには及びませんが、でも、なんだってまあ、あのひょっとこおやじの百面相が、命とかけがえに片棒かつぐ気になったんでしょうね」
「そこがいわくいいがたしだが、いずれは娘のたいせつなものでもちょうだいができる約束でもあったろうよ。だから、梅丸もそこは人気稼業で、若い男ででもあらば格別、相手の五十男であったことが恥ずかしくて、なかなか口を割ろうとしなかったろうさ」
「――考えてみりゃ、きょうはお釈迦さまのお生まれなさった日のはずだったが、それだのにあんな罪劫の深いやつらがいるところを見ると、まだご功徳がお足りなさらねえのかな」


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