GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』
現代語化
「23です」
「ひどく小柄ですね。まさか日陰で育ったわけじゃないですよね?」
「いえ、それが実は日陰ばかりで育ったんです。うそはつけないものでございますが、親代々家の商売が金山の金掘りだったもんですから、しょっちゅう日の当たらない地中にもぐっていたせいか、私でちょうど7代、こんなお平の長芋みたいな育ちの悪い小男ばかりが続いてるんです。今お見せした隠し芸も、やっぱり親の商売のせいなんでしょうが、暗いところばかりで仕事をしたせいで、自然に目が強くなったみたいで、私までが今お見せしたように親の血を引いて、子どもの頃から夜でもよく物が見えるんです。伊豆守様が稀代の名人と折り紙を付けてくださったのも、それはつまり、そういうことも1つあるんです」
「なるほどそうですか、どうも珍しい話ですが、お名前は何とおっしゃいますか?」
「善光寺辰と申します」
「なに、善光寺辰? 奇怪な名前ですが、ご両親が付けられたんですか?」
「いえ、親が付けた名前は辰九郎っていうんですが、あまりに私が小粒なので、善光寺さまのご尊体が1寸8分しかないとかいうそれを真似して、いつのまにか皆がそんなあだ名をつけたんです」
「確かに、物は考えようですな。さて、もう1つの稀代の名人芸とは、どんな隠し芸ですか?」
原文 (会話文抽出)
「では、ともかく人となりを承ろう。当年何歳じゃ」
「二十三でございます」
「ひどく小さいようじゃが、まさか日陰で育ったわけではあるまいな」
「いいえ、それが実あ日陰ばかりで育ったんだから、うそはいえないものでございますが、親代々家の稼業が金山の金掘りでござんしたのでな、しょっちゅう日の目の当たらない地の中へもぐっていたせいか、あっしでちょうど七代、こんなお平の長芋みたいな育ちの悪い小男ばかりが続くんでございますよ。今のお目にかけました隠し芸にしてからが、やっぱり親どもの稼業のせいなんでござんしょうが、暗いところばかりで仕事をしたため、ひとりでに目が強くなったものか、あっしまでが今お目にかけましたように親の血を引いて、子どもの時分から夜でもよく物が見えるんでございますよ。伊豆守様が希代なわざと折り紙つけてくださいましたのも、一つはつまりそれなんでございますがね」
「なるほどさようか、いかにも珍しい話じゃが、名はなんと申すか」
「善光寺辰と申しますんで――」
「なに、善光寺辰? いぶかしい名まえじゃが、親がつけたか」
「いいえ、親のつけた名まえは辰九郎というんですが、あんまりあっしが小粒なんで、善光寺さまのご尊体が一寸八分しきゃないとかいうあれをもじって、みんながいつのまにかそんなあだ名をつけたんでございますよ」
「いかさまな、物は考えようじゃな。では、あとの一つの希代なわざじゃが、それはどんな隠し芸じゃ」