GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』
現代語化
「当たり前だよ。人相とか年格好でもわかっていりゃ、こんな面倒くさい捨て石なんか打たなくたっていいんだが、ただ深川の八幡にいた八卦見っていっただけじゃ、どうせあいつらは渡り者なんだもの、どれがどいつだかわからねえじゃないか。だから、今日だけの捨て石じゃ獲物がかからないかもしれないよ。江戸にいる八卦見の数なんて、あれっぽっちじゃねえんだから」
「その心配なら大丈夫です。俺が旦那のやることじゃねえですか。いますよ、いますよ。きっとあの12匹のうちの1匹にいますよ。それに、渡り者っていったって、あいつらにも縄張りがあるんだからね。思うに、俺は深川の境内に今もまだいるんじゃないかという気がするんですがね」
「そうばかり卸すわけにもいかないだろう。――だからねえ、お由さん、あんたも今の話で、俺たちが何をやってるか、もうだいたい見当がついたでしょ? 場合によっては、まだ2、3日あんたのあの早業をお借りしたいんだ。当分手伝いをしてくれないかい? ごらんのような独身者で、家の人数といえば、そこの台所にいるお静坊と俺だけなんだから、寝言を言おうと、逆さまに這い出そうと、ご自由にしたらいいんだけど。――もっとも、俺が生身の独身者なんだから信用できないっていうんなら、そいつはまた別だけど」
「いいえ、もう旦那なら――、旦那様のようなお方のそばでしたら――」
原文 (会話文抽出)
「なるほどな。さすがだんなのやることだけあって、芸がこまかいや。じゃ、なんですね、このおまじないをおとりに使って、まずあのときの八卦見の野郎をおびき出そうというんですね」
「あたりめえよ。人相とか年かっこうでもわかっていりゃ、こんなまわりくどい捨て石なんか打たなくたっていいんだが、ただ深川の八幡にいた八卦見といっただけじゃ、どうせあいつらは渡り者なんだもの、どれがどいつだかわからんじゃねえか。だから、きょうだけの捨て石じゃ獲物がかからねえかもしれないよ。江戸にいる八卦見の数は、あれっぽちじゃねえんだからな」
「その心配ならだいじょうぶ。おらがだんなのやるこっちゃござんせんか。いますよ、いますよ。きっとあの十二匹のうちにいますぜ。それに、渡り者といったって、あいつらにもなわ張りはあるんだからね。思うに、あっしゃ深川の境内に今もまだいるんじゃねえかという気がするんですがね」
「そうばかり問屋でも卸すめえさ。――だからねえ、お由さん、あんたも今の話で、あっしどもがなにしているか、もうおおかためぼしがついたでしょうが、場合によっちゃ、まだ二、三日あんたの例の早わざをお借りしてえんだからね。当分おてつだいをしてはくださるまいかね。ごらんのようなひとり者で、家の人数といっちゃあ、そこのお勝手にいるお静坊とあっしきりなんだから、寝言をいおうと、さかしまにはい出そうと、ご随意なんだがね。――もっとも、あっしが生身のひとり者なんだから信用がおけねえっていうんなら、そいつあまた格別ですが」
「いいえ、もうだんななら――、だんなのようなおかたのそばでしたら――」