佐々木味津三 『右門捕物帖』 「早まったことをいたしてなんとするか! す…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「早とちりすんなよ! 素直に言ったら、だいぶ情けかけてやったのに、死んだら罪なくなると思ってんのかよ?」
「ち、違います! 罪から逃げようと思って自殺したわけじゃねえんです! 罪を深く反省して、覚悟の上のことなんです。証拠に、この内ポケットに書き置きがありますから、ご慈悲があればさっさと読んでください!」
「なんだ、書き置きか?! もし俺を言い負かせたら別だけど、無理なら自殺してやるって、前から考えてたわけか!」
「は、いろいろ隠してても、今じゃ八丁堀で有名なあんたに、どうせ隠し通せるはずねえと思ってましたんで、いよいよ罪を認めないといけなくなったんで、潔く死んでその代わりこの書き置きを読んでくれってつもりでした。それに、生きて白状したら、情けないヤツって言われるでしょ?でも、死んでから白状すれば、女の少しばかしのプライドも守れるわけなんで、こんなことになっちゃいました。どうか、可哀想に思ったら、さっさとこの書き置きを見てくださいよ」

原文 (会話文抽出)

「早まったことをいたしてなんとするか! すなおに申さば、ずいぶんと慈悲をかけまいものでもなかったのに、死なば罪が消えると思うかッ」
「いえいえ! 罪からのがれたいための自殺ではござりませぬ! 罪を後悔すればこそ、覚悟のうえのことにござります。それが証拠は、この内ぶところに書き置きがござりますゆえ、ご慈悲があらば今すぐお読みくださりませ!」
「なに、書き置き?! では、もしこの右門を言いくるめえたら格別、かなわぬときは自殺しようと、まえから用意してまいったのか!」
「は、どのように隠しだていたしましても、いま八丁堀でご評判のあなたさまに、しょせんたち打ちはかのうまいと存じましたゆえ、いよいよ罪に服さねばならぬときがまいりましたら、いさぎよう身を殺しまして、そのかわりに用意のこれなる書き置きをお読みねがうつもりでござりました。それに、生き長らえたままで白状いたしましたら、いくじなきものよとのそしりもござりまするが、わが身を殺すとともにいたす自白ならば、おなごのいささかばかりな操もたちますことゆえ、かくお目前を汚しました。どうぞ、かわいそうとおぼしめしくださりましたら、はようこれなる書き置きをご覧くださりませ」


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