佐々木味津三 『右門捕物帖』 「どうだ、早わざに驚いたろ。まず第一は、こ…

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青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「ほら、見てみ。この紙、よく見ろよ。赤い色が2種類あるだろ。こっちの濃いのは血だけど、こっちの薄いのは口紅だよ。つまり、この紙を持ってたのは女だってこと。」
「へぇー、すごいね。じゃあ、この紙、女の人が使う高級な紙だってこと?」
「そうそう。だから、この事件の犯人は女で、しかも大奥にいる女だってことが分かるんだ。」
「なるほど。じゃあ、その女を捕まえに行けばいいってこと?」
「そう簡単じゃない。まず、この傷は刀じゃなくて、短刀で刺された傷だってことが分かったんだ。」
「え、そうなの?じゃあ犯人は、刀じゃなくて短刀を持ってる女ってことか。」
「そうそう。それに、結び相撲のとき、秀の浦に声をかけてた女がいたろ?あいつが怪しい。」
「なるほどね。じゃあ、その女を捕まえて問い詰めればいいんだ。」
「そうだけど、他にも怪しいやつがいるかもしれないから、その日に外出してた女全員を捕まえてくるんだ。」
「任せて!こういうのは得意だから。」

原文 (会話文抽出)

「どうだ、早わざに驚いたろ。まず第一は、この紙ににじんでいる赤い色が二通りになっているから、目のくり玉をあけてよく調べてみなよ」
「いかにもね。こっちのべたべたにじんでいるどす黒いやつア、たしかに血の色にちげえねえが、そっちのちっちぇえ赤い色は、どうやら口紅のあとじゃござんせんかい」
「そうだよ、ふところ紙に口紅のあとがついているとするなら、この紙の持ち主が女であるこたあ確かだろ。そこで、第二はこの紙そのものだがね、おまえのような無粋なやつあ、このなまめかしいふところ紙がなんてえ品物かも知るめえなあ」
「ちぇッ、つまらんところでたなおろしなんぞしなくたってようがすよ。無粋だろうと、ぶこつだろうと、大きなお世話じゃござんせんか。なんてえ紙ですかい」
「これが有名な筑紫漉だよ」
「へへえ、なるほどね。筑紫漉といやあ思い出しましたが、大奥のお腰元が使うとかいう紙ゃあこれですね」
「そうさ。だから、これでこのふところ紙の持ち主ぁ女で、しかも大奥のお腰元だっていうことがわかったろ。しかるにだ、まだ一つおれでなくっちゃ見破ることのできねえネタがあるんだが、さっき秀の浦の傷口を調べてみたら、あれあおまえ、だんびらやわきざしの切り傷じゃなくて、たしかに懐剣の突き傷だったぜ」
「そうですか、わかりやした、わかりやした。じゃ、ほんとうの下手人は、大奥の女中の中にいるからしょっぴいてこいというんですね」
「そのとおり。だが、おまえ、ただどなり込んでいったって下手人は容易にゃ見つからねえはずだが、どうして本人をしょっぴいてくるつもりかい」
「ちぇッ。こう見えたって、だんなの一の子分じゃござんせんか。はばかりながら、見当はもうついていますよ。だんなはお忘れなすったかもしらねえが、あの結び相撲のときに、お腰元の中からしきりと秀の浦へ声援したやつがあったじゃござんせんか。あいつを捜し出してしょっぴいてきたら、よし下手人でなかったにしたって、何か目鼻がつくでがしょう」
「偉いッ! そのとおりだが、まだ一つ忘れてならんことがあるぞ。きっと、あの時刻に外出をしたやつがあるはずだからな。いたら三人でも五人でもかまわねえから、みんなしょっぴいてきなよ」
「がってんの助だ。自慢じゃねえが、こういうことああっしの畑なんだから、あごでもなでなで待っていなせえよ」


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