佐々木味津三 『右門捕物帖』 「たぶん、秀の浦の死骸じゃねえか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「多分、秀の浦の死体じゃねえか?」
「え!?その通りですが、どうしてまた見ないうちにそんなことがわかりますか?」
「そのくらいの先が見えなくてどうするんだよ。お前の言い分じゃねえが、こんなことで音を上げるような右門だったら、それこそ殿方に会わせる顔がねえよ。さっき左内坂で新手の駕籠が盗んで乗せるように秀の浦をさらっていったって聞いたときから、多分無事な体じゃ戻れねえと思ったからこそ、こうして火鉢に当たりながら、騒ぎが起きるのを待ってたんだ。だが、それにしても、この死体を俺の門前に置いてくのはちょっと理解できねえな。何かそこに書いたものでもありゃしねえかい?」
「ありますよ、ありますよ。暗くてよくは見えませんが、ここに紙切れみたいなものが貼ってありますよ」
「そうかい。じゃあ、誰の仕業か、大体の目星はつくんだろう。ちょっと行灯を持ってきて見せな」
「――お気の毒だが、むっつり右門も今度はびっくり右門になったようだな。多分、お前の会いたいやつはこいつだろうから、顔だけは拝ませてやるよ。せいぜい悔しがったり、じだんだでも踏めよ――」
「笑わせるよ、敬四郎の仕業だよ。それにしても、およそ子どもっぽいいたずらをしたもんじゃねえか。悔しがったり、じだんだを踏めとしてあるが、どこのじだんだを踏むんだよ?」
「じゃあ、あのいもづらの旦那がしたんですか?」
「そうさ、敬四郎でなきゃ、こんな自慢っぽい狂言はやらねえよ。きっと、そこらあたりでこっちの様子でも伺っているに違えねえから、ちょっとその辺を捜してきてみな」

原文 (会話文抽出)

「たぶん、秀の浦の死骸じゃねえか」
「えッ<img gaiji="gaiji" src="../../../gaiji/1-08/1-08-77.png" alt="※(疑問符感嘆符、1-8-77)" class="gaiji" /> そのとおりですが、どうしてまた見ないうちにそんなことがわかりますかい」
「そのくれえな目先が見えなくてどうするかい。おまえの言いぐさじゃねえが、こんなことで音を上げるような右門だったら、それこそみなさまがたに会わする顔がねえや。さっき左内坂で新手の駕籠が奪い乗せるように秀の浦をさらっていったと聞いたときから、おそらく無事なからだじゃけえるめえと思ったからこそ、こうして行火にぬくまりながら、騒ぎの起きるのを待ってたんだ。だが、それにしても、この死骸をおれの門前にすえておくなあちっと解せねえな。なにかそこらに書いたものでもありゃしねえかい」
「ありますよ、ありますよ。暗くてよくはわからねえが、ここに紙切れみたいなものが張ってありますぜ」
「そうかい。じゃ、だれのいたずらか、ぞうさなくめぼしがつくだろう。ちょっくら龕燈を持ってきてみせな」
「――おきのどくだが、むっつり右門も今度はびっくり右門になったようだな。たぶん、きさまの会いたいやつはこの死人だろうから、顔だけは拝ましてやらあ。せいぜい悔やしがって、じだんだでも踏みな――」
「笑わしゃがるね、敬四郎のしわざだよ。それにしても、およそ子どもっぽいいたずらをしたもんじゃねえか。悔やしがってじだんだ踏めとしてあるが、どこのじだんだを踏むのかな」
「じゃ、あのいもづらのだんながしたんですかい」
「そうさ、敬四郎でなきゃ、こんな自慢たらしい狂言はやらないよ。きっと、そこらあたりでこっちの様子でも伺っているにちげえねえから、ちょっくらその辺を捜してきてみな」


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