佐々木味津三 『右門捕物帖』 「思うに、そちの思案していることも、今のあ…

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青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「多分、お前が考えてることも、今のあの超怪しい勝負を心配してるからだろ?どうだ、違ったか?」
「はい……」
「そうじゃないのか?どうだ、違ったか?」
「いや、その通りです」
「そうかよ。やっぱりあの勝負は、俺の予想通り八百長じゃなかったのか?」
「えぇ、もう八百長どころか、どうしてあんな因縁相撲になったのか、一生懸命考えてました」
「ほうほう。やっぱり、因縁相撲だったか。俺もちょっとあの秀の浦って西の相撲の仕切りっぷりをみたとき、あいつの目に変な殺気を感じたから、何かおかしいなって思ってたんだが、じゃぁ何なんだ?お前の話から察するに、今までは2人は因縁みたいなのはなかったってことか?」
「えぇ、もう因縁どころか、もともとあいつらは同じ部屋で、しかも兄弟弟子同士の仲良しだったんですよ。なのに、さっきの仕切りを見ると、あなたも気づいたと思いますが、秀の浦がどうしたか封じ手の鉄砲を仕かけようとしたんですよ」
「ほう、西の相撲のあの変な手つきが、あれが鉄砲ってのか?」
「はい、そうです。しかも、あいつの鉄砲ってのは、ちっちゃくて威力ねえように見えますが、仲間内でもビビるくらいの凶器なんですよ。あいつからその鉄砲食らって、今までに3人も土俵で死んだヤツがいるんで、その後は親方が厳しく封じ手にして使っちゃいけないことになってたんです。でも、バカは治らないみたいで、将軍様の前だってのに、あいつが封じ手の鉄砲を使おうとしたもんだから、さすが江戸錦は、将来大物になると言われてるだけあって、命取りの鉄砲に会っても慌てずに、あんなふうに殿様方からお叱りを受けるようなことになっちゃったんですよ」

原文 (会話文抽出)

「思うに、そちの思案していることも、今のあの奇怪至極な勝負に胸を痛めてのことじゃろうと察するが、どうじゃ、違ったか」
「へえい……」
「ではわからぬ。どうじゃ、違ったか」
「いいえ、おめがねどおりでござんす」
「するとなんじゃな、やっぱりあの一番は、わしのにらんだとおり八百長ではなかったのじゃな」
「ええ、もう八百長どころか、どうしてあんな遺恨相撲になったかと、いっしょうけんめいそれを思案していたのでごんす」
「ほほうのう。やっぱり、遺恨相撲じゃったか。わしもちらりとあの秀の浦とやらいう西方相撲の仕切りぐあいを見たとき、あやつの目のうちにただならぬ殺気が見えたゆえ、どうもおかしいなと思うていたのじゃが、ではなんじゃな。そちの口裏から推しはかってみるに、今までふたりは遺恨なぞ含むようなかかり合いはなかったというのじゃな」
「ええ、もう遺恨どころか、もともとあの野郎どもは相べやで、そのうえ相弟子どうしの評判な仲よしだったんでござんすのに、さっきの仕切りぐあいを見ると、だんなもお気づきでござんしたろうが、秀の浦めがどうしたことか、封じ手の鉄砲をかませようとしたんでござんすよ」
「ほほう、西方相撲のあのときの妙な手つきは、あれが鉄砲というのか」
「ええ、そうでごんす。それも、あの野郎の鉄砲とくると、がらはちまちまっとしていてちっせえが、わっちたち仲間でもおじ毛立つくれえな命取りでごんしてな。あの野郎からその鉄砲をくらって、今まで三人も土俵で命をとられたやつがあるんで、爾後いっさい使ってならぬときびしく親方が封じ手にしておいたんでごんすが、バカにつける薬はねえとみえて、将軍さまのご面前だというのに、野郎めがその封じ手の鉄砲をかませようとしたものだから、さすが江戸錦や、さきざき大物になるだろうと評判されているだけがものはあって、命取りの鉄砲に会っちゃかなわねえと早くも気がついたものか、あんなふうに殿さまがたからおしかりをうけるようなことになっちまったんでござんすよ」


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