佐々木味津三 『右門捕物帖』 「廓へはいる以上は、遊ぶと決まっているじゃ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「廓に入る以上は、遊ぶと決まってるじゃないか。俺だって、石や木じゃねえんだからな」
「それは旦那、本当ですか!」
「本当だよ」
「きっとですね!」
「きっとだよ」
「旦那、私もう帰らせていただきます」
「バカだな、いざとなっておっかなくなったのかい」
「いいえ、違います」
「じゃ、うちへ帰って、おめかしをし直して来ようというのか」
「ふざけたこと言わないでください! 遊ぶってなったら、私だって、顔や柄で遊ぶんじゃねえんです」
「そんなら、何も尻込みするこたあねえんじゃねえか。傾国の美人ってしろものを私も取り持ってやるから、しっぽを振ってついてきなよ」
「いやです、私今から伊豆守様のお屋敷へ駆け込んで訴訟に参りますよ」
「伊豆守様……? 急にまた、変な人の名前を引き合いに出したものだが、伊豆守様っていや、松平のあの殿様のことかい」
「当たり前じゃないですか。伊豆守様は2人といらっしゃいませんよ」
「それはまた何の駆け込み訴訟に行く考えなんだ」
「知れたこっちゃありませんか。もっと早く伊豆守様が旦那にご新造をお世話しておいてくださいましたら、今になって旦那にこんな気の狂いはおきねえはずなんですからね。私今から駆け込んでいって、うんと殿様に不満を言うつもりですよ。旦那をご贔屓なら、ご贔屓のように、もっと身の周りのことをお世話くださったって、バチ当たらねえんだからね」

原文 (会話文抽出)

「廓へはいる以上は、遊ぶと決まっているじゃねえか。おれとて、石や木じゃねえんだからな」
「そりゃだんな、ほんとうですか!」
「ほんとうだよ」
「きっとですね!」
「きっとだよ」
「だんな、あっしゃもう帰らしていただきます」
「バカだな、いざとなっておっかなくなったのかい」
「いいえ、ちがいます」
「じゃ、うちへけえって、おめかしをし直して来ようというんか」
「めったなことをおっしゃいますな! 遊ぶとなりゃ、あっしだって、顔やがらで遊ぶんじゃねえんです」
「そんなら、なにもしり込みするこたあねえんじゃねえか。傾国の美人ってしろものをおめえにもとりもってやるから、しっぽを振ってついてきなよ」
「いやです、あっしゃ今から伊豆守さまのお屋敷へ駆け込み訴訟に参りますよ」
「伊豆守さま……? 急にまた、変な人の名まえを引き合いに出したものだが、伊豆守さまっていや、松平のあの殿さまのことかい」
「あたりめえじゃござんせんか。伊豆守さまはふたりとござんせんよ」
「そりゃまた何の駆け込み訴訟に行く考えなんだ」
「知れたこっちゃあござんせんか。もっと早く伊豆守さまがだんなにご新造をお世話しておいてくださいましたら、今になってだんなにこんな気の狂いはおきねえはずなんだからね。あっしゃ今から駆け込んでいって、うんと殿さまに不足をいうつもりですよ。だんなをごひいきなら、ごひいきのように、もっと身のまわりのことをお世話くださったって、ばちゃ当たらねえんだからね」


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