佐々木味津三 『右門捕物帖』 「まてッ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』

現代語化

「待て」
「でも、逃げちゃうじゃないですか!」
「アホだな。今から追いかけたって、お前の手にかかるような奴じゃねえよ。こっちを騒がせておいて、その隙に隣に押し入る大胆な手口だけ見ても、相手は並大抵の者じゃねえってわかるだろ。それよりさ、これ――」
「え?」
「わかんねえのか? これ、ぷんと女の肌みたいな匂いがしねえか。たぶん、相手の両手にも同じ匂いがあるはずだから、ちょっと行って嗅いでこい」
「なるほどね。了解しました。それだけでいいんですか」
「そうだ――でも、みんなに奪われるんじゃねえぞ。騒ぎ立てると、バカどもが余計なことして、せっかくの手がかりを台無しにしちまうからな」
「心配無用だ。私も旦那の一の子分じゃねえか。どこかそこの路地口でヒゲでも擦りながら、待ち受けてますよ」

原文 (会話文抽出)

「まてッ」
「だって、逃げちまうじゃござんせんか!」
「どじだな。今から追っかけていったって、おめえたちの手にかかるしろものじゃねえんだよ。こっちを騒がしておいて、そのすきに隣へ押し入る大胆な手口だけだって、相手の一筋なわじゃねえしろものってことがわかりそうなものじゃねえか。それよりか、ほら、これをな――」
「えっ?」
「わからんか、な、ほら、ぷんといい女の膚みたいなかおりがするんじゃねえか。おそらく、向こうの手首にもこれと同じ移り香があるにちげえねえから、ちょっといってかいでこい」
「なるほどね。ようがす、心得ました。じゃ、それだけでいいんですね」
「しかり――だが、みんなにけどられねえようにしろよ。騒ぎたてると、ぼんくらどもがろくでもない腕だてをして、せっかくのほしをぶちこわしてしまうからな」
「念にや及ぶだ。あっしもだんなの一の子分じゃごわせんか。どっかそこらの路地口であごひげでもまさぐりながら、待っていなせえよ」


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