GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『右門捕物帖』
現代語化
「恥ずかしながら、辻斬りはあっても、まさかこういう夜中に寝所にまで押し入られるとは思わず、つい油断して寝込んでいたところを、不意に襲われました」
「でも、それ以前に何か気になることはなかったんですか」
「そう言えば、そのようなことがありましたので、ちょっと不思議に思っているところです。何かバリバリと引っ掻くような音がしたんで――」
「え。バリバリと引っ掻く音がしたんですか! 本当ですか!」
「本当ですよ、本当ですよ。この廊下の辺りで、何かバリバリと引っ掻くような音が聞こえたので、不審に思って、そっちに注意を向けたら、あの奥の襖を不意に押し開けて、覆面の武士がわらじを履いて、いきなり飛び出してきて、一言も発さずに、この通り腕を切り取ったんです」
「ふむ、そうですか。そうするとそろそろ星が見えてきたようだな」
原文 (会話文抽出)
「貴殿とて一流のつかい手でござりましょうが、抜き合わす暇のなかったところを見ると、よほど不意を打たれたとみえまするな」
「面目しだいもござらぬ。つじ切りはしても、まさかにこのように夜中寝所まで押し入ろうとは思いもよらなかったゆえ、つい心を許して寝入っていたところを、不意にやられたのでござる」
「しかし、なんぞそのまえほかに気を奪われたようなことはござりませなんだか」
「さよう、たしかにお尋ねのようなことがあったゆえ、ちと不思議でござる。なんでも、何かばりばりとひっかくような音がありましたのでな――」
「なにッ。ばりばりとかく音がござりましたとな! すりゃ、まことでござるか!」
「まこととも、まこととも、真もってまことでござる。その廊下のあたりで、何かこうばりばりとかきむしるような音が耳にはいったのでな、不審と思って、そのほうへつい気をとられた拍子に、あれなるうしろのふすまを不意に押しあけて、覆面の武者わらじをはいたやつが、いきなりおどり入りさま、物をもいわずに、このとおり腕を切りとったのでござるわ」
「ふうむ、さようでござるか。そうするとそろそろほしが当たりかけてきたな」