GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夢野久作 『あやかしの鼓』
現代語化
「えっ……」
「クスクス」
「あのね……」
「音丸さん。落ち着いて真剣に聞いてよ。あなたと私の命にかかわるんだから。いいかしら……。私ね。こないだ道でお目にかかった時にすぐにあなただとわかったの。だって若先生の戒名をあなたが落としたのを拾ったんだもの。それから妻木を問いただしてあなたと一緒にお菓子を食べた後、それを隠そうとしたことを白状させたんです。そうしてそれと一緒にあなたのご希望のお話も妻木から聞いたんです。だからあの手紙を書かせたんです。そうしてその時にもう今夜の覚悟をしてたんです。いいかしら」
「覚悟って……」
「覚悟ってたいしたことじゃないんです。私は妻木に飽きちゃったんです。気の弱い影法師みたいな男が嫌になったんです。あんな死人みたいな男は大嫌いなんです……」
原文 (会話文抽出)
「オホ……いけないこと? 弱虫ねあなたは、オホホホ……でもこうなっちゃ駄目よ。どんなにあなたがもがいても云い訳は立たないから。あなたは私と一緒に東京を逃げ出して、どこか遠方へ行って所帯を持つよりほかないわよ……今から……すぐに」
「エッ……」
「オホホホホ」
「あのね……」
「音丸さん。よく気を落ちつけて、まじめにきいて頂戴よ。あなたと私の生命にかかわることなんですから。よござんすか……。あたしね。この間往来でお眼にかかった時にすぐにあなただということがわかったのです。だって若先生の戒名をあなたが落したのを拾ったんですもの。それから妻木を問い訊してあなたと御一緒にお菓子をいただいたあと、それを隠そうとしたことを白状させました。そうしてそれと一緒にあなたのお望みのお話も妻木からきいたんです。ですからあの手紙を書かせたんです。そうしてその時にもう今夜の事を覚悟していました。よござんすか」
「覚悟とは……」
「覚悟ったって何でもないんです。私は妻木に飽きちゃったんです。血の気のない影法師みたいな男がイヤになったんです。あんな死人みたいな男はあたし大嫌いなんです……」